-SIDE ヒメコ-
何で?
何で、イオンもアニスも一緒に同行しないの?
シンク達も襲って来ないし…
絶対におかしい!
折角の最強設定なのに私の見せ場がないじゃない!
ザオの遺跡イベントだって発生しないなんて、アッシュやシンクとの接点が少なくなっちゃったじゃない。
目の前を自信満々に歩く偽姫ナタリアも嫌いだけど、私を聖女と扱わない誘拐犯のティアも大っ嫌い!
ルークも何だか余所余所しくなったし、ジェイドは相変わらずかな。
「(ねぇ、ローレライ。アリスって奴、マリアって女じゃないわよね?)」
心の中でローレライに声を送ってみた。
“それはない。契約者(エレメンタラー)であろうとも人の子。他の音素集合体達は人を酷く厭うておる。力を貸す事はないだろう。例え貸したとしても音を司る我の前では無力なり。”
アッサリと否定するローレライの言葉にほっとする。
そうだよね。
あの女は海の藻屑になったんだから!
あぁ、でも、キモ男はどうにかしないと駄目だわ。
「(ねぇ、アリスって名乗った彼、ルークの障害になると思うの。力を貸してくれる?)」
そう尋ねれば
“ヒメコが願うのであれば我はいくらでも力を貸そう。”
私に甘いローレライ。
うふふ、キモ男なんて世界に必要ないわ。
「(ありがとぉ、ローレライv)」
キラキラとレムの光が水面を彩った。
彼女は気付かない。
彼女を取り巻く人達の視線(め)が冷めていることを!
揺ら揺らと揺れる幻惑アリス。
自ら破滅の道を歩む幻惑アリス。
迷い、惑い、幻ばに包まれて、己を見失った幻惑アリス。
さぁ、深淵の魔女が手招きしているよ。
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bkm