-SIDE ミュウ-
僕の名前はミュウと言いますの。
クイーンさんに殺されてもおかしくないのに僕を助けてくれたんですの。
ご主人様の周囲(まわ)りは、いつもキラキラと綺麗な音素が漂ってて綺麗。
まるでご主人様のような心ですの!
ご主人様は、ちょっと変わっていて、普段は雄の格好をしているですの。
ミュウよりも小さいお人形さんが、ご主人様の声なんですの!
ミュウはいつかご主人様の本当の声を聞くのが目標だったりするんですの。
ミュウのご主人様は、とっても優しくて綺麗なんですの。
そんなご主人様を虐める人がいるんですの。
ヒメコさんって言う人ですの。
ミュウはヒメコさんが大っ嫌いですの。
あと、一人気になる人がいるですの。
ルークさんって云う人。
朱金の綺麗な髪をした人ですの。
とても、とても、儚く、哀しく笑う人ですの。
ご主人様を見る眼は、とても優しくて、哀しみを帯びてましたの。
だから僕は頑張って声を掛けましたの。
-SIDE 逆行ルーク-
たまたまだった。
もうミュウには再会出来ないと思っていたんだ。
チーグルの森に、クイーンを助けに行けなかったから…
でも俺はミュウとまた出逢えた。
ミュウは変わらず俺の知っているミュウだった。
ただ、絶対の味方がアリスって奴なんだけどな。
俺がタルタロスで倒れた時に助けてくれたのも、俺が消してしまった此の世界の俺と夢で話して目覚めた時に傍に居てくれたのもアリスだった。
イオン達が俺に対し壁を作っているのは、俺が原因なんだって理解した時は目の前が真っ暗になるかと思った。
でも、それは当然の報いなんだ。
俺はあの日を境にローレライをヒメコを信じられなくなった。
特にヒメコの言動は醜悪に見えるんだよ。
ヒメコの言葉一つに傷付く人がいるのに彼女は気にも留めない。
そんなヒメコを味方だと豪語するローレライも…
俺は誰かを傷付けたくて時間を巻き戻したかったわけじゃなかったんだ。
それが俺が消してしまった今の俺だったとしても……
「ルークさんは、ご主人様の敵ですの?」
どこまでも真っ直ぐに俺を見るミュウに俺は寂しいと思った。
小さな身体で一生懸命守る姿は、ミュウなんだ。
「アリスの敵じゃないよ。出来れば、仲良くしたいんだ。」
仲良くしたい。
色々な事を話てみたい。
でも、それは夢のような話だと思う。
きっと無理だろうな、と諦めすら受け入れていた俺にミュウは
「ルークさん、泣かないで下さいですの。」
小さな身体で一生懸命俺を励ました。
泣いてないんだけどな…
でも、心は泣いているのかもしれない。
「ご主人様は優しい人ですの。ルークさん、ご主人様は優しい人ですの。ご主人様が言ってたのですの。思うだけだと何も相手に伝わらないんだって…だからミュウは言いますの。僕はご主人様が大好きだって!ご主人様はちゃんとルークさんの言葉を聞いてくれるですの。」
「ありがとう、ミュウ。」
現在(いま)も過去(むかし)も俺は蒼の聖獣に助けられている。
プツリと切れる運命の糸。
終焉に向けて自由に動き出す朱金のマリオネット。
そこに最早神(ローレライ)の手は届かない。
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bkm