私の名前はアニス・タトリン。
私の両親は善良な人間だと周囲の人達は言う。
そんなの嘘。
働いて稼いだお金を預言に詠まれているからって人に渡してしまう愚かな人。
「私達のお金でアノ人達が倖せになるなら素晴らしい事よ。」
どうして!?
私達が食事に困っているのに、服も物も買えないのに私達の倖せは何処に在るの?
「アニス、お金が無くても幸せなんだよ。」
借金を繰り返すお父さん。
私達が飢えちゃって死んじゃっても幸せなの??
ご飯も買えない。
服も買えない。
どうして?
お腹が空いたの。
綺麗な服を着てみたいの。
本だって立ち読みじゃなくて買いたいの。
私が稼いできたお金も使っちゃうなんて、どうして?
それも予言に詠まれているから?
10才も満たない子供を雇ってくれる所なんてどこにもなくて、私はそっちの趣味がある人に買われた。
気持ち悪い!
気持ち悪い!
気持ち悪い!
汚い!
汚い!
汚くなった自分が惨めだった。
でも食べ物を買うお金がないから自分を売るしかなかったの。
同年代の友達が欲しいよ。
こんなに苦しいのが幸せなら死んじゃいたい!
落ちていた古びたナイフで私は衝動的に刃を突き立てた。
頭がチカチカしてジュクジュクと熱く燃えるような痛みに私の意識は遠退いていく。
真っ赤に汚れた大地に私は笑った。
これで幸せ(予言)から開放されるんだもん。
なのにどうして私は生きているの!?
生活感のない質素だけれど清潔感のある部屋に私は寝かされていた。
「どうして?どうして?どうして死ななかったのよ!!!!!!!!ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
狂ったように叫ぶ私に私を助けた女が優しく抱き締めてくれた。
死にたいと殺してと繰り返した私に彼女は何も言わずに抱き締めてくれる。
散々彼女の事を詰った私に彼女は私を責める事はなかった。
その後、温かいスープ、綺麗な洋服、様々な本を彼女は与えてくれた。
友達も出来た。
嬉しかった。
彼女こそが私の光。
マリアさん、大好き!
マサク・マヴディル(深淵)を覘く者。