私はキムラスカの公爵家にお世話になっている。
ローレライの加護を受けた私に治せないものはないの。
手を翳すだけで癒される人々に私は賛辞を送られた。
ナタリアは相変わらず傲慢だわ。
アッシュとルークの違いも判らないんだから末期よね。
「ヒメコ様、準備が整いました。」
誰もが恭しく私に傅く。
「ご苦労様。」
ニッコリと微笑めば頬を染める彼等に私は満足した。
だってこれが普通の反応だもの。
私は護衛を引き連れて孤児院や病院を訪れる。
ローレライの加護を持つ私が癒してあげてたのだから彼等は私を崇拝した。
巷では自分勝手なナタリアよりも私がルークと結婚すれば良いのにと話も出てるくらいだもの。
当然よね。
でも私は誰か一人を選ぶ事は出来ないわ。
だって私には使命があるんだもの!
ルークとアッシュ二人を救って世界も救う聖女にならなければならない存在よ。
私にはローレライの加護があるから病気になんてかからないけど、あまり近付きたくないな…
だって私の手が汚れたらどうするの?
でも我慢、我慢。
「ヒメコ様!」
「ヒメコ様!」
「ヒメコ様!万歳!!」
彼等の感謝と尊敬の言葉に私は聖女の微笑みを返した。
全てが順調。
全てが思い通り。
全てが私の描く未来。
もっと私を褒め称えて!
だって私はユリア再来の聖女なのだから!!
気狂いピエロは魔女の掌で滑稽に踊る。