-SIDE エイコ-
ダアト救済って無理無理。
生理的に受け付けないのよね。
だって予言に従っていれば幸福が訪れるってアホか?
努力するという概念のない御馬鹿さんを救ってあげようというボランティア精神はないのよ、私。
予言狂のヴァンとモースはレプリカ情報を抜いて暗殺したわ。
「導師イオンのレプリカを作っておいて、自分は作られないと本当に思ってたのかしら?」
共犯者であるディストに尋ねれば
「思ってたんじゃないですか?自分は崇高な人間だと信じていたぐらいですし。」
優雅にお茶を飲みながら私の問い掛けに答えた。
「崇高ねぇ、どこが?」
予言至上主義のモースは敬虔な信者で済むかもしれないけどヴァンに関しては愚かの極みである。
「ヴァンなんてレプリカ計画とか言いながら一番レプリカを蔑んでたじゃない。レプリカの王様になるのが夢とか?」
レプリカだってあんなのを王にしたくないわよね。
と感想を告げれば同意が返ってきた。
「でもレプリカ王国は悪くないんじゃないですか?」
純粋無垢で良いと思いますよ、と宣うディストにそれもそうかと頷く。
「じゃあ、問題のありそうな人間は全員レプリカに挿げ替えておきましょう。」
国の上層部やダアトの問題児は全員レプリカに挿げ替えてしまって私が世界を操縦した方が幾分マシだ。
「エイコ、キムラスカは楽ですけどマルクトはピオニーですからねぇ。」
ちょっと難しいのでは?
と思案するディストに
「その辺は私が何とかするわ。」
マルクトは全面的に請け負うと約束する。
それから予言の年になる頃にはオールドラントの上層部がレプリカと挿げ替える事に成功した。
「こうも簡単に行くと怖いわね。」
シンク作のお茶菓子を突きながら今後の予定を立てるエイコです。
「良いんじゃないですか?どっちみち世界はレプリカ以外は滅ぶんですし。」
のほほんと滅びを受け入れているイオン。
ちゃっかりとお茶のお代わりをシンクにしている辺り図々しくなったと思う。
「平和の象徴が言う言葉??物騒だよ!」
一番常識的に育ったシンクの突っ込みに
「何言ってるんですか、シンク?新世界の神になると中二病真っ青なヴァンの意思を中途半端に継いであげた心優しい次期世界の指導者ですよ、僕は。」
多大にズレた返事を返すイオン。
イオンの前ではヴァンの崇高な目的とやらは中二病以下と談じられたのだった。
マルクト、キムラスカの間で和平の話が出るはずも無く時は刻々と過ぎて行きアクゼリュスは崩落した。
途中、キムラスカの公爵家がダアト追放になった罪人ティア・グランツに襲撃され擬似超振動の末にバチカルごと巻き込まれキムラスカ壊滅という噂が流れたくらいである。
アクゼリュス崩落を皮切りに世界は崩落しクリフォトへ大地が沈んでいった。
残るダアトはというと
「ディスト、暇です。カラオケ作ってください。」
ジャイアンのようなイオンの暇潰しと称してディストを恐喝しているが割りと平和である。
あれから十数年後、一人また一人と音素帯へ還っていき、やがてダアトはエイコ一人となった。
ダアトはある意味キムラスカやマルクト以上に残酷な滅びを迎えたのである。
ふん、所詮は詐欺集団なんだから滅びて良いのよ。
ユリア?
あん、稀代の詐欺師でしょ。
予言なんてあるから人は思考を捨ててしまったの。
しかも惑星滅亡予言の第七譜石だけ隠しやがって(怒)
元凶もハッキリした事だし世界を救いに行くわよ!!ローレライ!
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bkm