初めまして、諸君

-SIDE 奈津子-


随分微妙な時期の転入生こと田所奈津子です。

知ってる顔もチラホラ見かけるが敢えて無視で。

だって面倒臭いんだもん。

ほら、顔が良い奴って何かしらトラブル背負って来るじゃん?

巻き込まれたくないんだよね。

「立海付属中から着ました田所奈津子です。宜しくお願いします。」

ペコっと頭を下げて味気無い自己紹介をした。

頭を上げて最初に見た顔が担任の渋い顔だったのは記憶から削除しておこう。

無言でもっとパフォーマンスしろよ!

というような視線も無視した。

居眠りするには一寸不向きなド真ん中の空いている席に着く。

「やほー田所さん、初めまして!私は樋口アキって言うの。ヨロシクねv」

ノリの良い体育会系な女の子に

「ども、田所奈津子だよ。樋口嬢、私の事は呼び捨てで良いよ。てか、此処って部活強制?」

適度にフレンドリー且つ相手を不快にしないように質問をした。

「じゃあ、奈津子ちゃんで!部活は強制だけど奈津子ちゃんの場合は微妙な時期だから相談しても良いんじゃない?てか、立海ってテニス強豪だよね。やっぱり凄いのかな?」

あの微妙な担任に相談かぁ…面倒臭っ

にしてもキラキラした眼差しを向ける樋口嬢に私はどっちの意味で凄いのか迷う。

「アイツ等の顔?それともテニス技術?取り巻くファン?」

そう問えば彼女は

「全部!」

元気良く好奇心旺盛に答えた。

「まぁ、顔は見応えあるんじゃない?テニスの技術は仮にも王者名乗ってるんだし、学べる事が多いと思うよ(でも人外に進化したくないけど。)取り巻くファンは会長が厳しく取り締まっているから統率が取れていたかな。」

私の返答に

「奈津子ちゃん、凄い詳しいよね!誰かのファンだったり?」

なーんて、地球が滅んでも有得ん事を言われた。

滅茶ショックだ。

「いやいや、マネをしてただけさ。」

あれは苦労の連続だったね。

ファンクラブ会長を常識的な子に挿げ替え、調教してムサ苦しい野郎共の世話を三年間もしてやったのにチョッと顔だけが取り得な後輩の大根演技にコロっと騙されやがって(怒)

段々と恨み辛みで低くなる私の言葉に察しの良い樋口嬢は

「あ、私さ、女子テニス部の部長なの。一度部活見に来てくれない?」

サラっと違う話題を提供した。

でもテニス。

テニスから縁を切る事が出来ないのか…

「見に行っても良いけどテニス出来ないよ。」

マネは出来てもテニス自体出来ない。

だって私の将来の目標はスポーツ医だし!

よく怪我をして治療したりする奴等は私の良い踏み台だったわぁ。

そんな私の宣言にガックリと肩を落とす彼女。

「私の運動神経って切れてるらしいから。」

ドーンマイと頭を撫でておく。




-SIDE 手塚-


田所奈津子が転入してきた。

この中途半端な時期に…

乾から立海で問題を起して転校したらしい。

あの田所奈津子が虐め?

鯰のように捕らえ難く、水母のように自然と調和している田所奈津子が後輩を虐めるなんて想像も付かなかった。

しかも3年間も世話になった彼女に対し、立海の奴等はポッと入ってきた後輩マネの言葉を全部鵜呑みにしているという。

今も田所は女子生徒の中心で談笑を重ねていた。

男目当てなら顔も知っている俺や大石達に声を掛けるだろう。

寧ろ眼中に無いとばかりに鮮やかに無視している。

部長として彼女のマネジメント能力が欲しい。

彼女のマネジメント能力があれば、全国で実力以上の物を発揮する事が出来るだろう。

しかし、それを彼女が受けてくれるかと問えば否だろう。

極端に面倒事が嫌いな彼女をどうやってマネージャーにするか俺は一通のMailを作成して送信した。






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