世界を滅ぼそうとした罪人の末路を語りましょう。
親友の仮面を被った道化の末路は、マルクトとキムラスカで話し合い、見世物小屋の檻に入れ復讐鬼という獣として見せしめにした後に秘密裏に処刑された。
娼婦紛いの導師守護役でスパイの少女は、本物の娼婦として娼館で一生を過ごし、性病に罹って命を落とした。
マルクトの天才と称された殺人鬼は、己が実験体として生きたまま解剖され続けて今も過ごしている。
瀕死一歩手前で回復術で回復し、そして麻酔無しの解剖の繰り返しに天才の殺人鬼は何を思うのか?
ヴァン・グランツの妹、ティア・グランツ。
彼女の生死は誰も知らない。
ただし、生きていたとしても彼女は全うな生を送る事は二度と出来ないだろう。
その先は生き地獄なのだから…
王族でありながら死に怯え、己の身代わりを作りダアトに亡命し、予言が覆されたからその地位が惜しくなって戻って来た被験者は、心身を譜業で操られ外殻大地降下とレプリカホドを利用して瘴気中和、ローレライ解放をして姿を消した。
そう、まるで最初から存在しなかったかのように…
これがローレライも見放した被験者の末路である。
「ナタリア様、やっと終わりましたわね。」
フンワリと良い香りのする紅茶を淹れてくれるメリルに
「本当にやっと一息吐けるわ。」
笑顔で返した。
本当なら彼女もこの手で始末する予定ではあったのだけれども存外あの世界のナタリアよりも賢く優秀に育っている。
捨て置くのは勿体無い。
それに彼女はあの世界の彼女ではないのだから愚を犯さない限りは傍に置いておくつもりだ。
「後はナタリア様の即位とルーク様との婚姻ですわ。どんなドレスが良いでしょうか?」
うっとりと夢見る彼女に私は苦笑を洩らす。
いつか私も大きな竹箆返しを喰らうのだろう。
私はナタリアであってナタリアなく『ミリア』なのよ。
その事を誰にも告げる事が出来ない事が私の罰なのでしょう。
prev next
bkm