紹介します、私の婚約者

-SIDE リーナ-


私の婚約者を紹介します。

色々とあったんです。

えぇ…本当に色々と、ね。

あの糞餓鬼が誘拐されて何故かダアトのパインが赤子同然になったルークを連れ戻してから数ヶ月、私は公爵夫人に乞われて赤子ルークの教育係になった。

仏頂面と文句と愚痴と嫌味しか言わない糞餓鬼が天使のように微笑むのよ!?

これは私のためにこの子がいるんだと神に感謝したわ。

逆光源氏計画よねー

女のロマンですもの!!

と心の中で秘めておく。

でも、お屋敷の中で中身が赤子になったルークに対して風当たりが強い事。

プチっと切れちゃってキムラスカ追放しちゃったわ。

これで無能なメイドや名ばかり騎士を排除出来て良かったわね。

「リーナ、どこー?」

とてとてと私を探すルークの姿に只管悶えた。

これが俗に言う萌という奴ね!!

私は新世界を見た!

「ルーク!」

デレデレと笑いルークに手を振れば、パタパタと可愛い朱の子は私に一直線に駆け寄ってくる。

ギューっと抱き締めれば嬉しそうにルークもギューっと私に抱き着いてくる。

うっは!

超天国ゴチになります。

「ちちうえと、ははうえにお花をあげるのーペールにね、いまがキレイに咲いてるのゆずってもらうんだ!」

えっへん!

と胸を張って親孝行する可愛いルークを抱き締め

「そうね、きっと公爵様もシュザンヌ様も喜ぶと思うわ。どんな花が良いかしら?」

ペールの元へルークと手を繋いで歩いていった。

因みに夫人と公爵様は今のルークに何かが弾け飛んだらしい。

頭のネジだろうか?

ルークに箆棒に甘くなり今ではルーク命とばかりに私に秘予言を暴露し、予言回避模索中だ。

残念ナタリア姫とはとっくの昔に婚約解消されている。

そして新たな婚約者は、ルークが懐いている私であった。

ふふーん、当然よね。

その内、シュザンヌ様が王位簒奪してルークにプレゼントしてくれるわ。

ルークが王位に就くまでにゴミを排除しなくっちゃならないわね。

私はシュザンヌ様と公爵様に送る花をルークと一緒に選びながらツラツラと今後の事を考えた。


目指せ!

私の明るい未来の為に!!




-ルーク-



俺には年上で頼り甲斐のある女性がいる。

物心着いた頃からリーナとは一緒にいた。

俺に勉強や一般常識、国の有り方等を教えてくれたのはリーナだった。

以前の俺と比べる事もしないリーナが大好きだ。

最初は余所余所しかった父上や母上は、リーナを通して仲の良い親子になれたと思う。
だからナタリアが婚約者だと知って俺は絶望したんだ。

でも父上も母上も俺がナタリアと結婚したくないって告げたら俺の気持ちを優先して婚約破棄してくれた。

「俺、リーナが好きなんだ。」

まだまだ俺は子供で、俺より大きなリーナを見上げながら俺は言葉を紡ぐ。

「ずっと一緒に居たいのはリーナだけなんだ。だから、俺と結婚して?」

絶対にリーナの隣に立つのに相応しい男になるから、ってお願いしたら

「ルーク、とっても嬉しいわ。大好きよ。」

陽だまりのような笑顔で喜んでくれた。

でも、運命は残酷で、俺はルークでも人間でもなかった。

レプリカという紛い物。

どんなにリーナの隣に立ちたいと願っても許されないと知った絶望を救ってくれたのは、やっぱりリーナで

「私は貴方が大好きよ。名前ならシュザンヌ様達と一緒に考えるわ!どんな名前が良いかしら?」

綺麗な笑顔を向けてくれた。

父上も母上も俺に使えてくれるメイドや騎士達も俺を心配してくれている事に気付かされる。

ポロポロと零れる涙を優しく拭ってくれる彼女の手が愛おしい。


この優しい女性(ひと)が俺の自慢の婚約者です。









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