これでも王族

超ド貧乏王族のリーナ・ワン・モニカです。

今日も今日とてドアホのキムラスカ・ランバルディア王国は就職難を改善せんとばかりに馬車馬のように働いている。

予言で腹が膨れるか!

この野郎っー

と心の中で罵詈雑言を吐き捨てながら書類と格闘する毎日。

そんな私も年頃になれば見合い相手が出てくるもので…

その辺の使えないボンボンに嫁ぐぐらいなら平民でも有能な男に嫁いだ方がマシとばかりに見合いの写真を暖炉の火の種にした。

しかし私はキムラスカ王族の特徴を色濃く受け継いでいるので、有力貴族からのアプローチが絶えない。

予言に踊らされている大歩危キムラスカのファブレ公爵家より打診があった。

国の中枢より離れて久しい我がモニカ家にとって今が盛りのファブレ公爵家。

しかも王妹を娶ってるんだから王位継承権上位を占めているのだ。

そんな時の権力者に逆らえる筈がない。

例え予言に傾倒しているお人形さんだったとしても!

私はシンファにバチカルに逝って来る為の正装を用意しておいてねー

と頼んでおいた。

彼女達なら切り詰められた予算内で値切り倒した立派に見えるドレスを用意してくれる事だろう。




ファブレ公爵家から呼び出しを受けて数日、私は彼の家に滞在していた。

我が領地マイヤは私がいなくても商売根性逞しく生きて行くのだろう。

目の前にいるデコっぱちを見て私は溜息を吐きたくなった。

何だ、コイツは!?

確かに私は王位継承権はお前よりも下だが爵位持ちだぞ!

それをこの糞餓鬼は、自分の父親の権力を恰も自分の物のように振舞う始末。

お粗末姫ナタリア殿下とサル山大将のファブレ子息。

あ、ドアホキムラスカの未来はお先真っ暗だ。

「俺はお前が妾になる事には納得してない。妻はナタリア一人だ。」

延々とお粗末姫ナタリアを褒めちぎって私を妾宣言する目の前の餓鬼をいつ毒殺したろか、と思ったことか…。

しかも第一人称が俺?

公式の場なんですけどー

チョー有得ないって言うかぁ

頭のパッパラパーなギャルになって現実逃避しちゃったじゃない。

「お前の所のマイヤでは画期的な政策が成されているらしいな。しかし他の者の手柄を自分の物にするのは良くない。その点ナタリアは自分で政策を打ち出しているんだぞ。恥ずかしくないのか?」

侮蔑と軽蔑の眼差しで私を見るルークに

「精進しますわ。」

と適当に答えておく。

そんな私の言葉に満足したのか頻りに頷くデコ。

民の血税でプリンセスナタリア号とか豪華客船を作る無能姫と一緒にされたくありませんもの。

と副音が聞こえたのかは定かではないが、控えていた公爵夫婦の顔色が悪かったのが印象的だった。



この後、私はファブレ公爵に猛抗議したのは言うまでもない。

キムラスカの食料庫とまで発展させた我が領地マイヤの食料をバチカル出荷せんぞ!

ってな。

分厚い謝罪の手紙と慰謝料が送られてきた。

その後にあの糞餓鬼が誘拐されたと聞いた時は、マイヤの領民と一緒にどんちゃん騒ぎをしたっけ。


どんなにケチ臭くても私は王族なんです。

馬鹿にされたら身包み剥ぎますよ?






prev next

bkm
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -