-SIDE 神野マリア-
何故?
どうして受け入れてくれないの?
怖い!
怖い!
怖い!!
皆、助けて!
私、死にそうになっているんだよ!?
こんな映像を見せられるなんて、どうして!
逃げようと思っても身体が縫い付けられたように動かない!
「ねぇ、苦しい?」
聞きたくも無かった声に私はビクリと身体を震わせた。
「ねぇ、苦しい?」
唄うように紡がれる言葉の先に橘ハルキがいた。
「あ、アンタっ!何でこんな所にいるのよっ!」
私の人生を尽く邪魔をした憎い女。
「あら、まだ自分が置かれている状況が理解(わか)っていないようね。」
呆れたとばかりに溜息を吐く橘に恐怖は消えた。
「私はボンゴレ10代目なのよ!!こんな事が許されるとでも?」
歴代のボス達に認められたら殺してやるんだから!
睨み付ければ、怒気を孕んだテノールの声が私を断罪する。
「貴様がボンゴレ10代目だと!嗤わせるな!お前のような薄汚い卑怯者が我がボンゴレデーチモとして認めるわけにはいかない。」
「そうね、貴女のようなのをデーチモとして認めたらボンゴレの恥だわ。」
次々に私を否定する声が上がった。
「何故!?私は誰よりもボンゴレ10代目に相応しいのに!橘ね!何を吹き込んだのよ!?」
橘に掴み掛かろうとすれば誰かに殴り飛ばされる。
強かに身体を打った。
苦痛を滲ませた悲鳴を上げる。
「ハルキさんに触らないでくれるかな。」
何故、ツナが橘の隣に立っているの?
呆然と動けないでいる私の背を踏付け頭上より
「モドキがハルキちゃんに馴れ馴れしく口開かないでくれる?」
笹川京子の声が響いた。
「どんな手を使ったかは知らぬがボンゴレデーチモになる筈だった綱吉の居場所を奪い私利私欲の為にボンゴレを破滅させた罪は重い。」
プリーモの言葉に私は蒼白になる。
「ジオ、アレを壊しても良いかしら?」
この場にそぐわない笑顔で笑う橘に私は嫌な予感を覚えた。
「愛しいハルキの為ならボンゴレごと壊れてしまえば良い。」
橘に愛を囁くプリーモはどこか狂気染みている。
その場所は私の場所だと主張する事が出来ない。
何故なら私を囲む者達の目が狂気と殺意と憎悪を宿していたから。
引き裂かれるような痛みに朦朧とした意識の中で高らかに嘲笑(わら)う私をトリップさせた神がいた。
GAME OVER
<代償を一気に支払った気分は如何かしら?あぁ、もう事切れていらっしゃるのね。さぁ!報告書を書かなくては!面白い劇を感謝していますわ。 著者:語部少女>
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