エステル・ヒルハインツは、クツリと愉悦を交えた微笑を漏らす。
ボンゴレ最強雲の守護者と謳われているが、エステルの心にボンゴレなど欠片もない。
単に主からお使い程度にスパイしておいでと長期任務(おねがい)を言い渡されたからに過ぎない。
10年の間にどれだけ無能なボンゴレ10代の雲の守護者をしてあげたと思っているのだ。
死んでくれた時には諸手を挙げて部下達と酒宴をしたと謂うのに、のこのこと10年前から戻って来て今更未来を多い覆そうとでも思っているのだろうか?
10年後でもボンゴレの看板に踊らされた奴が10年前の更に甘ったれた餓鬼がボンゴレ10代目の看板を背負えると思っているのか?
理解に苦しむが、継承の儀式で長年の鬱憤を晴らす事が出来ると思えば少しは気分もマシである。
「エステルさん、宜しくお願いします!」
主様よりの命令でなかったら継承の儀式に乗じて殺してやれるのに!
まぁ、ギリギリまで藻掻き苦しめば良いのだ。
「…行くわよ。」
リングに炎を燈し匣に注入する。
匣が開閉され神野マリアを包み込んだ。
さぁ、茶番が始まるわね!
だって純粋な殺気を持って継承の儀式が行われるのだから!
本当はもっと早く殺したかったのよ?
<全てが味方だと傲慢に思っている彼女にとって、イレギュラーはボンゴレの敵でした!とは、継承の儀式と云う名の処刑台に早変わりしていましてよ。どこまで足掻いてくれるのかしら? 著者:語部少女>
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