「怖い人ですね。」
ポツリと呟いた骸の言葉にハルキは笑う。
まるで、世界を根底から覆すような…という言葉をまだ温かい紅茶と一緒に飲み込んだ。
「世界を敵に回すのですか?」
僕の問いにハルキさんは
「面白い事を言うね。世界が、敵に回ったのだよ!」
だから潰すのさ、と愉しそうに嗤うハルキさん。
「それにしても雲雀もそうだけど、骸も霧の守護者の地位を蹴ったんだってね。そんなにアノ子が嫌いかい?」
テーブルの上に放り出されたハーフボンゴレリング。
「それもありますが、僕は貴女をあの時から選んでいるんですよ。ボンゴレに入るなんて虫唾が走ります。それ本物ですか?」
絶望を知って希望も見出せず復讐に駆られた僕達を救ったハルキさんだからこそ僕等は彼女の為にある。
復讐を否定せず、境遇に同情する事無く、在りのままを受け入れた彼女だからこそ彼女の傍にいるのだ。
元凶と謂えるハーフボンゴレリングを睨みつける。
「それ偽物だよ。あはは、ヴァリアーも舐められたものね。ザンザスが見抜けないわけないのにさ。」
掌で弄ぶレプリカハーブボンゴレリング。
「そういえば、骸の代わりに凪って女の子が霧の守護者になったそうだよ。雲の守護者は誰になるんだろうね?」
楽しみだと嗤うハルキさんには、このリング争奪戦の先が見えているのだろう。
バタバタとダイニングに飛び込んで来た二人はハルキさんに抱き付いた。
「ハルキちゃん、ただいま!」
「ハルキさん、ただいま!」
ハルキさんにベッタリとくっ付く京子と綱吉の頭を優しくハルキさんは撫でる。
「二人共お帰りなさい。霧戦はどうだった?」
ハルキさんの問い掛けに
「「神野に勝たせてあげたよ!馬鹿だよね、だってわざと勝たせてあげてるのに気付いてないのよ(んだよ)!?」」
ニッコリと無邪気な笑みで答える二人に
「神野にそれを期待しちゃダメよ。私もザンザスにも会いに行かないとね。そろそろ作戦も大詰めだし?」
子供をあやす様に抱き締めた。
神野マリアがハルキさんに踊らされているのに気付くのはいつになるのでしょうね?
一生気付かないのかもしれませんが、まぁ…退屈しない人生になりそうです。
<欠けた守護者で本気でヴァリアーに勝てると思っている彼女の楽天思考には天晴れですわね。ふふ、もう理不神が神野マリアの手助けをすることは無いでしょう。あぁ、絶望は何処までも甘美なのです。どんな演出をしてくれるのかしら? 著者:語部少女>
- 9 -
前 次