「ハルキちゃん、私に何か隠してない?」
態々屋上に呼び出して第一声がそれかい?
「隠すって何を?」
惚けてみれば神野は鬼の形相で
「精市達に何を吹き込んだの!?」
と掴み掛って来た。
「何を…と言われても」
困った顔をすれば
「アンタ、馴れ馴れしく精市とメールしてるのよ!しかもデートしたって何様のつもり!!」
やん、彼女面かよ。
こりゃ100年の恋も一瞬で冷めるんじゃね?
と心の中で突っ込みを入れつつ
「私が誰とどうしようと私の勝手です。というか、私が彼とどうこうなろうと神野さんには関係ないでしょう?」
正論で責めてやれば
「はぁ?精市達は私の王子様なのよ!アンタみたいなブスが釣り合うわけないじゃない。身の程を知れって感じ!!」
バシっと顔を殴られた。
私も一応仮にも女だからね。
顔が腫れたらどうしてくれるんだ。
「何よ、その眼!ムカツク!ムカツク!アンタなんか直ぐに学校から追い出せるのよ!家も生活出来ないように潰してやるっ!野々宮と一緒にね!!」
声高々に宣言した神野を見て私は嘲笑(わら)う。
勿論、神野には見えないようにね。
あははは、この馬鹿は私が何もしないで屋上に来たと思っているのだろうか?
本当に残念な頭しかない女だな。
さて、理不神はこんな事では愉しまないだろうね。
「そうやって人を脅す最低な人。誰からも愛されない哀れな人。」
優しい橘ハルキさんらしく同情した振りをすれば、神野は私の胸倉を掴んでフェンスに押し付けた。
「此処から突き落としたらどうなるかなぁ?」
そんな勇気も無い癖によく言うよ。
「そんな手段しか取れない最低な人だから誰も傍にいないのよ。」
と挑発すれば
「アンタ何か潰してやるっ!!」
グーで殴られた。
フェンスに力強く当たり身体が空を舞う。
ふふ、ははははは!
流石、理不神!
フェンスに細工しているのは何となく分かってたけどね。
まぁ、死ぬつもりは全然ないのだけれど病院送りにはなるかもね。
殺人未遂でもアキが調べた過去と共に断罪されるんじゃない?
<全て元・語部少女と理不神の舞台で滑稽に踊る彼女は脳味噌の足りない猿のようですわね。同情なんてしませんわ。だって望んでこの世界に来たのでしょう? 著者:語部少女>
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