一宮明子はクツリと楽し気に笑う。
手元に集まる神野マリアのデータを渡せば、きっとハルキ様は私を褒めて下さるに違いない。
確かに神野財閥の財力と権力は世界屈指と言えるでしょう。
ですが、世界屈指といえど頂点ではありませんの。
ハルキ様の奨学金を廃止の話を聞いた時は神野暗殺計画を立ててしまったぐらいですわ。
神野が権力を振るうならハルキ様は人脈を持って征するでしょう。
「アーキ、何か面白い情報でも集まったのかい?」
ニッコリと私だけの為に笑顔を向けて下さるハルキ様。
「ハルキ様が愉しめる情報が集まりましたわ。彼女は転校先々で人を殺してますの。」
「人殺しが我が校に通っていたとは、怖いねぇ。他には?」
「まだ確証は取れてませんが神野家が裏で麻薬取引をされているようですわ。」
ハルキ様に神野に関する書類を渡せば、はにかんだ笑顔でありがとうと礼を言われた。
何て綺麗に微笑まれるのでしょう!
「アキは優秀だね。流石、私の大事な人だ。あの噂もアキが流してくれたんだろう?」
サラリと口説き文句を言われ私は真っ赤になってしまいました。
「お褒め頂き嬉しいです。噂は会員に通達して流しました。ハルキ様は、いつまで神野の傍にいるのです?」
ずっと私の傍に居て下さいませとは言えず、早く神野の傍を離れて欲しいと哀願する。
ハルキ様は、私の髪をユックリと撫でながら
「そうだね。そろそろ罠を仕掛けようと思う。アレの用意をしてくれるかい?」
お願い事をされた。
私を頼られるハルキ様!
「早急に手配致しますわ。」
早く神野をハルキ様から引き離したいのだから!
「ふふ、アキありがとう。」
一宮明子の名に掛けてハルキ様の願いを叶えてみせます。
狂ってる?
それがどうしたというのです!
私が正常でないなら皆狂えば良いのです!
<権力に奢る者は蹴り落とされて当然ですわね。人脈を大事にしなかった彼女はどう足掻くのかしら?それにしてもトリップしたのが逆手に取られるとは何て面白いのでしょう! 著者:語部少女>
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