シレネ | ナノ




絶対などありはしない。

世界は不変である。

著者:元・語部少女



神野の黒い噂が流れ始めて一月が経過した。

彼女の称する王子様達の対応が明らかに今までと違うでしょう?

私に向けられる視線は同情・憐憫だね。

神野に向けられるのは嫌悪・疑惑かな?

「ハルキちゃん」

見下した表情(かお)を隠さないで私の名前を呼ぶ彼女。

私が一瞬だけ不快を見せ悲しげに微笑む仕草で彼等は噂を鵜呑みにしてるよ。

まぁ、当たっているけどね。

「橘、ちょっと良いか?」

柳に呼び止められた。

「蓮二、ハルキがどうかしたの?」

図々しいとはこの事だろうか?

柳が呼んだのは私であってお前ではないのだよ神野。

私を押し退けて柳に詰め寄っている姿を丸井達が遠巻きに見ているが状況を理解しているのかい?

目の前の柳も呆れた顔をしていた。

「橘に用事がある。橘、一緒に来て貰えるか?」

柳の問い掛けに私が了承すると

「あ、じゃあ私も一緒に行っても良い?」

と神野がMKY(マジ空気読めない)を発動させた。

ビシっと音を立てて空気が凍ったような気がする。

「悪いが用事があるのは橘だけだ。神野は遠慮してくれ。」

バッサリと断りを入れるが勘違い女は

「だーから、用事って何?私が一緒にいたらダメなの?私はハルキちゃんの親友だよ。」

と意味不な発言を宣った。

お前なんて親友じゃねーよ!と心の中で暴言を吐きつつ

「神野さん、悪いけど先に行っててくれないかな?」

ごめんね、と断りを入れる。

神野が何か言う前に

「ハッキリ言うが、神野が居る事が迷惑だ。行くぞ橘。」

私の腕を掴んでサッサと歩き出す柳。

王子様の一人にこうもハッキリと拒絶された神野は茫然自失だね。

あはははははは!

嘲笑(わら)いが止まらないよ。

理不神がストーカーしているからもっと楽しくなるのだろうけど、私を睨むのはお門違いだよ?

ふふふ、君のだ〜い好きな王子様達が鬼の形相を見てるけど良いのかい?

どうやって取り繕うのかな?

あぁ!

と〜っても愉しみさ。


<こうして魔女はお姫様から王子様を連れ出したのです…なんて、ね。あらあら、失礼あまりの展開に地が出てしまいましたわ。柳少年を越えるストーカーは理不神ぐらいですわ。 著者:語部少女>



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