ハイデル兄弟 | ナノ


▼ 22 頑張った兄 ※ (弟&兄視点)

団長の業務で夜も遅くなり、疲れて自室へと向かう。

ああ、兄に触れたい。疲弊がとくに求めている。
けれど二日前に家に来たばかりの兄は、今日はいないだろうと残念に思う。

本当は毎日一緒にいたいが、互いの仕事や任務のため難しい。
何より一緒にいると俺は自分を抑えきれないから、兄を疲れさせてしまう。

二人にとって幸せな時間だと知りながら、くったりとする兄を見て反省することも多い。

ぐたぐだ考えながら扉を開けると、信じられない光景が目に入った。
ソファの上で兄が膝を抱える格好で本を持ち、読書していた。

「ん? ……クレッド!」

びっくりする俺と同じく驚いた兄は、すぐに本を置き、笑みを作って駆け出してきた。

「おかえり。お疲れ様」

腕いっぱいに抱きしめて、俺の胸に顔を埋めてくる。

なんだこの、かわいい兄貴はーー。

その日の疲労が一瞬にして消え去った。
代わりに襲い来る立ちくらみを抑えようとするが、嬉しそうな顔で俺を見上げる兄には、全然待ってもらえない。

「ただいま、兄貴……」

ぼうっとしながら優しく抱擁を返し、わくわくして俺を見る兄を見つめ返す。
時が止まったように可愛い存在に目を奪われていると、なぜか兄が不思議そうな顔をした。

その後、無言のままやや曇りがちになる。
どうしたんだ?
今度は兄の眉間に皺がより、ムッとした表情で、俺の胸ぐらを掴み上げてきた。

「……遅いぞっ、なんでキスしてくれないんだよッ」

最初は嬉しそうな顔だったのに、それから不安げに変わり、今は怒っている。
俺の口づけを求めて。

「もういいよ、俺からするから!」

立ち尽くした俺を引っ張り、強引に口付けてきた。
その愛らしさを前に足がふらつき、内心爆発しそうな自分を、兄の甘い吐息がさらに揺さぶってくる。

「ん……ん、む……ぅ」

されるがままになっていると、口を離した兄の息は上がっていた。
顔を赤らめ、ぼうっとしている。
だがまたすぐに眉を下げて、心配そうに俺を見てきた。

「クレッド……? 大丈夫か? ごめん、お前疲れてるのか。ほら、早く休んでーー」

ああ、まずい。
無反応で固まっていた俺を誤解している。

兄は反省を浮かべ、俺の腕を引っ張ってソファに連れて行こうとした。
俺はすかさず後ろから抱きしめ、顔をこちらに向けさせて深いキスをする。

「んんっ…!?」

びくっと震える兄に構わず熱烈な口付けを与えると、みるみるうちに体がだらんと脱力した。
腕の中で支え、さらに深く味わう。

「ごめん、兄貴。でも兄貴がかわいすぎるから悪い。許してくれ」

真剣に述べると、顔を赤らめたままの兄が目を見開いた。

「な、なに言ってんだ。お前マジで大丈夫か」

きっと俺の言動が意味不明なのだろう。さらに心配された。
けれどこうしてはいられない。時間がもったいない。

今のやり取りは俺を幸福の絶頂に導いたが、まだ足りない。
俺は根本的に兄に飢えている、どうしようもない弟なのだ。

「兄貴、まだ眠くない? まだ寝ないよな。俺五分で風呂入るから、まだ起きてて」

何回まだと繰り返すのだろうと自分でも呆れるが、俺はかなり焦っていた。
呆気に取られていた兄が、すぐにふっと微笑んだ。

「はは、まだ寝ないよ。別にゆっくりでいいから、風呂入ってこいよ。俺ベッドで本読んでるから」
「分かった、ありがとう。絶対寝ちゃ駄目だぞ」
「うん。お前も慌てないでちゃんと体洗えよ」

しつこい俺を優しく受け止め、寝室へと入っていった。
長年の経験からいって兄がベッドで本を読み始めるのは危険だ。早く済まさなければ。

俺は仕事の時よりも本気で急いでいた。


最短時間で風呂から上がり、まだ髪が濡れたまま寝室へと駆け込む。
部屋は薄暗く、サイドテーブルの照明だけがぽつんと照らされていた。

兄は横向きになり向こうを向いて、布団の中で体を丸めている。
読みかけの本は頭のそばに置いてあった。

そ、そんなーーあれだけ約束したのに、もう寝てしまったのか?

頭をガツンと殴られたような衝撃が襲う。
大の男がどうしようもないほどのショックを受けている。

自分のせいだ。
俺が遅かったから、昔からおやすみ三秒の可愛い兄は、俺をおいて寝てしまったのだ。

意識消沈しながらベッドに上がり、せめて愛らしい寝顔を見てから眠りにつこうと決めた。

「兄貴、おやすみ……」

頬にキスをして、照明に手を伸ばした。
すると、下にあった体がぴくりと動いて見えた。
顔を覗き込むと、兄の目がぱっちりと開き、口元がニッと笑いを浮かべた。

「わあッ!!」

突然間近で大声を出され、俺は完全に固まった。
嬉々とした表情から、兄が驚いたのではなく、俺を驚かせるために出した声だと分かった。

「え、兄貴?」
「なんだよ、なんでお前びっくりしないんだ? つまんねえっ」

子供のように頬を膨らませる兄を見て気が抜けてきた。
けれど段々心臓がドキドキしてくる。

「……兄貴、寝たフリしてたのか」
「そうだよ。まだ寝ないって言っただろ。でもお前さすがだなぁ、全然動じないんだな。今度はもっと違うやり方にしよっかなぁ」

うまく反応できない俺の頭を優しく撫でながら、なにやら思案し出している。
俺は我慢できず、兄を腕に包んでぎゅっと抱きしめた。

今日はどれだけ可愛い事を俺にしてくるんだろう?

でもその衝撃よりも更に心を占めていたのは、兄がまだ起きてることだった。

「嬉しい、兄貴……」
「うわ、ちょっ、どこ触ってんだぁっ」

俺は決めた。
今日は思う存分兄貴を堪能する。
普段は見れない姿を見たい、その全てを目に焼き付けて、味わい尽くすんだーー。




***(兄・セラウェ視点)***


「あー……かわいい……気持ちいい」

ぼうっと潤んだ瞳で見つめながら、クレッドが下から腰を突き動かしてくる。
汗だくの俺は必死にこいつの刺激を受け止めて、ずっと文句をぶつけていた。

「んあぁっ、クレッド、そんな、揺らすなぁっ」

どうしてこうなっちゃったんだろう。
最初は俺の好きなやり方で前から……いや向き合ってゆっくり睦み合っていたはずなのに、段々目をギラつかせたクレッドに言いくるめられ、気がつけば上に乗せられていた。

いくら愛する弟で、もう何度も大事な営みをしてきたとはいえ、この体勢には絶対に慣れない。

「じゃあ兄貴がもっと腰揺らして……俺に見えるように、動いて……」

でも弟はさらっと無理な要求をしてくる。
こいつ、えっちな事してる時は、ほんとに意地が悪い。

「いやだ、お前見てるだろっ」
「だから見えるようにって……まって、見なかったらいいのか? じゃあ目つむってるから」

一人で納得した感じで、普通に目を閉じ始めた。
やらしい動きもぴたっと止まっている。
……え。俺に続けろって言うのか、この鬼畜。

「あ、あぁっ、ん……っん、……ほんとに、目、開けんなよ……っ」
「……うん、開けてないよ……ああ、兄貴すごい、もっとして……」

チラチラ確認しながら腰を前後にゆっくり動かすと、弟の淫らな感想が届いてくる。
くそ、これじゃ集中出来ない。自分だってもう刺激が集まりすぎて力が入らないのに。

俺はある事を思いついた。

「……クレッド、そこの、布……取って」
「え? なんの?」

目をぱちりと開けられ、視線がかち合った。俺は恥ずかしくなり前のめりになって抱きついた。
すると弟のモノがもっと奥深く入ってきてしまった。

「んあぁぁっ! バカ野郎ッ……だから、引き出しのなか……っ」

弟は上にいる俺を抱きとめて一瞬思案したようだったが、すぐにサイドテーブルに腕を伸ばし、引き出しから長めの黒い布を取り出した。
なぜそんなとこにあるのかは知らないが、前に見たことがあったのだ。

「それで……目隠ししろっ」
「お、俺が?」
「そうだよ!」

俺のすぐ下にいる弟は、大きく見開いた蒼目に、すぐさま欲望の炎を浮かび上がらせた。はぁはぁ言ってるし。
俺の要求もおかしいが、こいつはやっぱ変態だ。

「あぁ、それもいいな……でも兄貴がやってくれ、頼む」

有無を言わさずキラキラした目で頼まれ、俺は悶えながらもしょうがなく言うとおりにした。
クレッドの目に黒い布をかぶせ頭の後ろで結ぶ。

「よし…これでいいや」

裸体の弟の卑猥な姿にドキドキし、一瞬何してんだと我に返りそうになるが無視する。

弟のわずかに開いた口元からは色めいた吐息がもれ、胸も上下し始めた。
こいつ、もう興奮してやがる…。

でも本当に良いかもしれない。
クレッドの両手が俺を離さないように更に強く腰を固定してくるが、羞恥は明らかに半減した。

「……んっ、んあぁ……はぁ、あぁっ」

おずおずと腰を上下に動かし、弟の大きなモノを根本まで入れて、抜け出ないようにそっと引く。
入るときより出る時のほうが中の壁にこすれて気持ちいい。
何度も繰り返すうちに、動きが止められなくなっていった。

「あ、あぁ、クレッド……だめ……っ」
「……兄貴、すごい、もっと上手になってる……」

それは前は下手だったと言いたいのか、一瞬不満が湧いたが堪えた。
まあ確かに今はこいつの目がないから自由に動いてるけど。

「ああ、良い……中に、もっと、力入れてみて」

こんな体勢で普段なら無視する要求も、なんとなく聞いてしまう。
きゅっと締めるように下腹部を意識すると、弟の腹筋が何度か大きく動いた。

「……ッ兄貴、あぁ、きつ、い……ッ」

腰を震わせて悶えている。
俺がこいつを感じさせてるんだ、実感するたびに自然と動きが激しくなっていく。

「クレッド、ん、んぅ、ああぁッ」

気がつくと弟の硬い腹筋に両手をつき、腰を大きく上下前後に振っていた。
卑猥な音が漏れているのも気にせず、ただ弟と自分の快楽を貪っていく。

「はぁ、あぁッ、もう俺、いく……ッ」
「俺も、兄貴、気持ちよくて、だめだッ」

弟の余裕のない声を聞いた俺は、二人の絶頂を求め無我夢中で揺らした。
背中がのけぞり後ろに倒れそうになるのをこらえ、目をぎゅっとつむってその時を迎える。

「ほんとにかわいい、ああもう、我慢できない……っ」

突然響いたその声にびくっとなり薄目を開いた。
するとなぜか弟の潤んだ蒼い瞳が、完全にこっちを見ていた。

ーーえ? どういうことだ?

「……なっ、なんでお前目隠し取ってんだ!!」
「だって兄貴のイクとこ見れないの、やっぱ嫌だろ、手も拘束しておくべきだったな……?」

弟が呼吸を荒くしたまま、ニヤリと言い放った。
急速に熱が全身へとまわり、言葉を失った俺は動きも全部止めた。

「や、やだ、ばか、ふざけんな……もうやめる!」
「止めたら駄目だ、逃げないで、続けて」

腰をがっちり捕まえられ、逃げ場がなくなってしまった。
そんな……。
こいつは頑として動いてこないし、俺が続けないと終わらないのかもしれない。

「やだぁ、ああっ、見るなッ」
「全部見えるよ、俺達が繋がってるとこ……」
「うるさい……っ、ああぁ!」

顔を逸して目をつむり、襲い来る恥ずかしさに全力で耐えて、腰を揺らした。
だってもうすぐイキそうだったんだ、屈辱に耐えて、やるしかない。

「あ、んあぁ、い、いっちゃう!」
「俺も、もういく、ああ、兄貴の中で、イカせて……ッ」

俺の手をクレッドがぎゅっと握りしめてきた。
なぜか俺は弟の上に跨ったまま、互いの指を絡ませ、手と体をそれぞれ繋げている。

こんな格好……はずかしい。
けれど体の中も表面も濡れていて、全部が熱い。
弟の熱におかされて、理性が飛んでいってしまう。

「あ、あぁ、んああぁぁッ!」

腰を痙攣させてドサっと前に倒れ伏せると、クレッドの下半身が僅かに跳ね上がった。
同時に掠れた声を漏らし、俺の背中にぎゅっと腕を回して、中で自身を何度かビクビク脈打たせる。

繋がったまま弟の精液がじわりと奥まで流れ込んできて、俺は何も言えずしがみつき、快感にうち震えていた。

「……はぁ、あぁ、兄貴……」

頭を撫でられ、ゆっくりと顔を上げた。
ずっと離れていた体がぴたりと合わさり、心までもっと満たされる。

見つめ合う弟にキスをされて、口を開き、互いの舌を交じらせた。
けれど……

「すごく気持ちよかった……兄貴も?」
「うん……恥ずかしかったけど。それに今も……。ん、んぁ……う、動くなよっ」

全部見られたことへの怒りも、弟に出されたものによる快楽が始まったせいで、どこかへ吹っ飛んでしまいそうになる。

「俺の出したやつ、良い?」
「……良い……けど……いちいち聞くなバカっ」

精液に媚薬成分がある呪いなんて、出される度に文句を言ってやりたくなるぐらいだ。

けれど弟は不気味に笑った。
それになんか、中にあるものがまた、硬さを持ち始めてるようなーー

「なに、してんだっ、やめろっ」
「やめろって言われても……しょうがないだろ? こんなにかわいい、大好きな人が、上に乗ってたら……」

また恥ずかしいことを言いやがって。

俺だって同じだけど。何より媚薬の強さが俺たちの愛を証明しているのだ。
それは素直に嬉しい。
だからってこいつもう少し自重できないのか。

「じゃあ今度は俺の番だな。兄貴はゆっくり休んでていいよ」
「……は?」

呆気にとられる俺をよそに、弟は俺を抱きかかえたまま体を起こし、反対側に押し倒してきた。
上から見下ろして、にこりと笑う。
俺の本当の羞恥は、まだ始まったばかりだったのだ。



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