愛すべきもの | ナノ


▼ 11 初めての

「や、やあぁっ、そこ触ったらだめだよぉっ」
「こら、じっとしてろって、今大事なこと教えてやろうとしてるんだろ?」
「……え? 大事な…こと?」

さっきからやたらと僕に構ってくるクローデにまた後ろから抱えられ、耳元に息を感じてびくびくする。

「そうだ。分かりやすく説明するとな、大きくなったペニスをこすると精液が出る。これはやがて雄と雌の交尾のために必要になるんだ。交尾は子作りのことな。だからそのための準備として、男はたまに精液を出して、ペニスを元気にしとかなきゃいけないっていうわけだ」

分かったか?と横から落ち着いた表情を向けられるけれど、僕はぽかんとしていた。
彼の話は一応理解できた。でも、僕の頭は違うことでいっぱいになる。

「どうして? クローデのペニスも大きかったよ。誰かと交尾するから? 僕そんなのやだよ!」

急にパニックに陥りやだやだと子供のように迫る。クローデは雄だし僕と違って立派な大人だし、そんなことしてるのかと想像すると我慢ができなくなってしまった。

「お、おい。落ち着けオルヴィ。俺は別にしてねえ」
「……本当?」
「ああ。……どうしたいきなり、変なやつだなーー」
「よかったぁ!」

確かにどうしちゃったのだろう。そう思いながらも安心した僕は彼の胸に抱きついて頬をこすりつけた。
あ、分かった。これはきっと焼きもちってやつだ。僕はもう、勝手にクローデの家族のような気分でいたのかもしれない。

でも、そう思ってるのは自分だけかもしれないから、まだこの時は言わないでおいた。

「ええと……とにかくな。お前の体はきちんと成長中ってことだ。だから忘れずに出しとけよ?」
「うんっ。でも、どうやってするの? クローデが見本見せてくれる?」
「……あのな。そんなこと出来るわけないだろ。無邪気に頼んでくんじゃねえ」

呆れた彼の顔がさっと赤みを帯びた気がした。僕が諦めずにじっと見つめる間、獣耳をふわふわ撫でられる。
気持ちいいなぁ……そう思ってうっとりしていると、また彼の手が僕の下半身に伸びてきた。また慌ててやめてえ!と逃げようとするけれど、上から容赦なく撫でられてしまう。

「ひうぅ……恥ずかしいよ…!」
「そうだろ? お前よくそれで俺にちんぽ出せとか頼んできたな」
「だって、だって、自分で触るのは難しいし、でもクローデに触られると気持ちいいんだもん!」

真っ赤になって抵抗すれば、手がぴたりと止まる。やっとやめてくれたのかな。
そう安心したのも束の間、武骨な男らしい手がなんとズボンの中に侵入してきた。

「やっ……あぁぁ……だめえ」

じたばたするけれど、クローデの指が僕のちんちんに触れて、直に優しく触ってくる。びりっと電気が走ったみたいに、しびれて腰が勝手に動く。

「どうした…? 気持ちよくないか?」
「……いいってばぁ……」

諦めてだらんと彼の胸板に背をもたらせる。指で包むように上下に擦られて、ペニスへの摩擦がどんどん息をあげさせる。
クローデは僕が静かになったのを見計らってズボンをずり下げ上の服をたくしあげてきた。

「わあっ! なんでっ、やだっ、クローデのえっち!」
「またか。どこで覚えた、そんな言葉。もうテレビはあんまり見せないほうがいいな」
「だって僕裸になっちゃう! おかしいよ〜っ」
「おかしくない。こうしねえと飛ぶんだよ。いいから俺に任せろ、オルヴィ」

頼れる声音の持ち主に、僕のペニスは完全に見られてしまった。ちょこんと立っていて自分でも驚く。きっと大人のクローデのとは全然違うものだから、恥ずかしくてたまらなかった。
それにクローデがしてくれてるってことが、余計に僕を意識させて体が沸騰しそうになる。

「あっ、あぅ、へん、変っ」
「……もうすぐか? いいぞ、遠慮するな。全部出しちまえ、オルヴィ」
「んぁぁっ、だめえ、もう、もう……んやぁぁっ!」

腰が何度も跳ねて、ちんちんの先をぎゅっとクローデの指につままれる。そうして快感の衝撃が何度も走ったあと、白いものがぴゅっぴゅっと飛び出た。
お腹まで飛んだそれをびっくりして見下ろすけれど、クローデの声も降ってきた。

「おー、ちゃんと出したな。偉いぞ、オルヴィ」
「……うぅ。僕、偉いの…? いっぱい汚しちゃったよ。おしっこみたい…」
「大丈夫だ。拭けばいいだけだ。ちょっと面倒くさいけどな、抜きたいなと思ったときにこうすればいい」

珍しく明るい声で話しかけてくるクローデを、そっと振り返る。
僕はこんなことをしてしまったのに、なんだか彼は安心したような表情だった。ひょっとして僕の成長ーーそれを喜んでくれてるのかな。家族みたいに。

「へへ。じゃあいいけど。……でも、やっぱり恥ずかしいなぁ。……そうだっ。今度はお風呂でしてね、クローデ。そしたらすぐにお湯できれいになるし!」
「……おい待てオルヴィ。また俺にやらせる気か? だめだぞ、自分で出来るようになれ。それに風呂なんかいちいち入らなくていいだろ、お前が好きなのは知ってるが」
「ええっ、だって僕、べたべた嫌なんだよ。クローデと入るのがいいな」

いい案を思い付いたと思ったのだが、彼は細目で僕を見やり、「しょうがねえな」と違う方を向いて黒髪を掻いた。
確かに自分でも恥ずかしくて、触られるのも鼓動が苦しいぐらいだったのに、なんでまた頼んじゃってるのだろう。

おかしいなと思いながらも、クローデに頭を優しく撫でられたから、僕は単純にもすぐに喜んだ。きっと彼とのこうしたやり取りが、僕の心をこっそり満たしていくからなのかもしれない。



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