冥土の土産(パロディ)
2016/10/17 09:51
以前サイトにアップしていた拍手文の再録です。
本来ならばこれは3作品目なのですが、前の2作はうっかり保存せずに消しちゃってですね^^;
1作目は『ゲットせよ!金のエンゼルマーク』(次回の定例会議のテーマ)
2作目は『君とパカパカ♪赤外線通信』(主人公ちゃんとやりたいと駄々をこねる)
でした(笑)
まあ……毎度バカバカしいお話です。
登場人物
ノーブル・ミッシェル13世
その執事ゼン
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再び午後のノーブル・ミッシェル城。
昼過ぎから降り出した雨音を聞きながら、午睡から目覚めた主のために寝覚めの紅茶を用意する執事に。
「のう…ゼンや」
主の声が背中に届けば。
「…はい?いかがなされましたか?ノーブル様」
ノーブルの手元に入れたての『キャッスルトン』のダージリンのカップを渡しながら、柔らかく微笑む。
「この『QRコード』というのは一体何のためにあるんじゃ?」
「QRコード…でございますか?」
「ああ、そうじゃ。じっと見ていたら文字が浮き上がるとか言うやつかの?」
「いえ…それは3Dの『マジカルアイ』ですので、QRコードとは違いますね」
「じゃあ、何じゃ?」
不思議そうに雑誌に掲載されたQRコードをじっと見つめるノーブルに。
「それを携帯電話等で撮影すると、あらかじめ登録されたサイトなどに行けるようになっているんですよ」
「そうなのか?」
「左様にございます」
そう答えるといつになく『ぱあっ』と嬉しそうな表情をゼンに向け、いそいそと自分の携帯電話をそのQRコード部分に接写するべく近付けようとするのはこの城の主。
「…?」
そろりと主の背後に回り、一体なんのQRコードなんだ?と覗いてみれば…。
「…ノーブル様」
「わあっ!!…何じゃっ!脅かすな!!この老い先短い老人の心臓を止めるつもりかっ?!」
慌てて雑誌を折り畳み、背後の執事へと恨めしそうな表情を向ける。
「老い先短い老人のする事とは思えませんが…?」
ため息混じりにノーブルの手元の雑誌を取り上げる。
「こ…こらっ!!返せ!ゼンっ!!」
そして徐に開いた頁には。
『これであなたも幸運が!恋人が!金運が!幸せのハッピーブレスレット』
「……」
「いやあ…その…何じゃ、ワシも楽しみが欲しくてのう…」
ばつが悪そうな瞳をゼンに向け、急いで雑誌を取り返す。
「この世に思い通りにならないものなど無い貴方様がこれ以上何を…?」
「まあ…ほんのお遊びじゃよ!これで彼女が出来でもすれば冥土の土産話にのう…」
「また冥土の土産…ですか?」
呆れたと言わんばかりのゼンの表情に。
「い、いや…その…お前の分も買ってやるから…の?」
「結構です」
「何じゃ…冷たいのう…」
しょんぼりするノーブルの背中に『はあ』と聞こえる様に再び漏らされる深いため息。
「…いい加減に通販も卒業していただけませんか?もう部屋に入りきれませんよ?」
テレビで雑誌で新聞で見かける度に勝手に注文して…受け取る自分の身にもなって下さい…とゼンは今日何度目か分からないため息をつく。
「いつぞやは『団地妻なんとか』などという変なDVDのセットなんか頼まれて…」
「!!いやあ…あれはその…」
『しまった!』と言った表情をしたノーブルに。
「今度頼んだら、今まで購入されたもの全て処分しますからね」
「という事は処分したらまた買っていいと言う事かっ?!」
「……」
ゼンの氷のような表情に慌ててフォローを入れる。
「じょっ…冗談じゃよ!分かった…もう買わないからっ!」
「本当ですね?」
「だから…このブレスレットで最後にするから」
「……」
本日も『聖地』ノーブル・ミッシェル城は…平和のようです。
『冥土の土産』 fin
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なんてね(笑)
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