沈む(超短編)
「虎徹さん」
ああ
「虎徹さん」
うん
「虎徹さん」
ん…
「虎徹さん」
………
「虎徹さん」
あぁ……
重いな…
ずるずる沈む、引きずられて行く。
足枷が外れない。
もがいてももがいても、外れない。
落ちていく、堕ちていく、墜ちていく。
「虎徹さん」
甘い声は、どろどろと絡み付き離れない。
「………」
暗い水の底、ふと見下ろした足首には。
「鏑木・T・虎徹………お前だけは許さない」
嗚呼、白い手が絡み付いて離れないんだ。
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