ラビの鉄槌の伸でレイガンの店に続く建物にアレンはリンクと共に飛び降りた。
土煙の上がったのはもっと中央街区寄りだった。神田の攻撃から片割れだけでも逃れていれば、あの足の速さだ。まもなくレイガンの所へ辿り着いてしまう。
屋根伝いに走り抜け、店のある路地に着地する。[closed]と書かれた札のかかる扉を破るように開ければ、店内の掃除をしていたらしい彼がビクッと肩を揺らした。


「隠れろ!」

「な、なんだ、騒々しく…。悪いけどついさっき閉めちまったんだが…」


用具を置いて困ったようにする人懐っこい顔。

ふと倉庫に向かって飛んでいったティムキャンピーが見えたのだろう。視線は一瞬それを追ったが、既にそこには何も無い。突然の客に驚いただけだろうと思ったのか、その目が外を警戒しているらしいリンクから自分を睨むアレンの左胸に移ると、はっとして彼の顔とそれを交互に見やる。
アレンは上手く状況の飲み込めていないレイガンの腕を掴み、ティムキャンピーが見つけてきた倉庫の死角に押し込める。建物から脱出した場合は守りきることはできないだろう。
訳も分からず抗議の声を上げるレイガンを止める。


「一体何が起きて…」

「貴方は伯爵のブローカーですよね」


息を詰まらせたような顔の彼はゆっくりと頷いた。


「今、僕たちの仲間が貴方を殺しに来ます」

「…もしかして、切り裂きジャックか…?」


アレンとリンクは目を丸くする。それを見たレイガンは項垂れながらも、何故自分を助けるのかを問う。


「…僕たちは貴方のやったことは決して赦さない。でも、だからといって救える命を見捨てたくない。誰かの命を奪う仲間を見たくない。だから守ります」


リンクが合図を出したためレイガンがどんな顔をしたのか、アレンは窺い知ることは出来ない。
それでも確かに聞こえた。
「すまない…」
そう呟く彼の声が。
[*prev] [next#]
墮天の黒翼

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -