場所によって微かに軋む廊下が鬱陶しい。

音の立たないよう慎重に歩いたせいで大分時間がかかったが、寝室まで辿り着いた。
息の詰まるほど緩やかな動きでドアノブを捻り、隙間を作ると同時にそこに滑り込む。

僅かにカーテンの隙間から白み始めた空が覗いた。

無駄に広い部屋に置かれた、これまた無駄に大きいシングルベッドを見やる。
此方に背を向けて眠るギネヴィアの姿。長身に燃えるような赤髪が目印のその女は無防備に寝息を立てる。



さぁ、貴様等が赴いてから四人目だ。

今度はどんな顔をしてくれる?

今度こそ、応えてくれるか?



逸る心を忍ばせ、乾く唇を舐める。
緩む口元が我慢出来ない。

刃を握り締め、頸動脈目掛けて振り下ろした。

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墮天の黒翼

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