まだ陽が昇ったばかりだが、この街の路地は薄暗い。
手にしていたコートをふわりと羽織る。微かな光に反射する刃は異臭を放つ黒い雫を滴らせた。
今日はいつもより多くの血飛沫をあげた。
愉快だ。
あのエクソシスト達の表情、なかなかの傑作だ。
これで奴らは切り裂きジャックの存在を認めるだろうか。
それにしても…、葬儀屋の老人は切りごたえが無かった。
きっと娼婦の柔らかい肉は適度に脂肪分がのっていただろうに。
あの刃先を鈍らす脂肪の感触は一種の楽しみだったのだが。
まあいい、代わりにエクソシスト達が来ている。
そして、アイツも…。
こみ上げる嘲笑を飲み込む。
滲み出る狂気を風が攫った。
[*prev] [next#]
墮天の黒翼