半時程で宿に足を運んでくれた警部、サイモン・ノーゼルには申し訳ないが、価値のある情報は獲られなかった。

サイモン警部が署に戻ると遅い昼食を口にした。ただ午前中に見た生き地獄のような現場がまた回顧され、思うように体は食べ物を受け付けなかったが。


「今夜からどうします…?」

「見張り、つくべきだけどさぁ…」


生き残るブローカーは五人。対して此方も五人だが、犯人がノアかAKUMAならまともに相手が出来るのは三人ないし四人だ。このままではどうしても被害者が出てしまう。どうすればよいのかと考えあぐねていれば、恐る恐るというようにシーが声を上げた。


『恐らく一度しか使えない方法ですが…、レイガン・バルドーの酒場に、アビー・テイラーとカイル・エドモンドが来店するように仕向けるのはいかがでしょうか…?』

「え?そんなこと出来る?」


驚きを彼女に向ければ、少し自信がなさそうに頷いた。
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墮天の黒翼

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