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「パパとママの所に帰りたい」 泣かないシヴァが発した言葉に月精は眉根を寄せた。 「そうだね、ファミリーネームを訊いてもいいかな?」 「…ルフォード」 「ルフォードさんですね、分かりまし『いいのか』 「え?」 あの時、僕の言葉を途中で遮った月精は、とても恐い顔をしていたと思う。 『お前は家族に捨てられたも同然なんだぞ』 「月精何を…」 『本当のことだろ』 キッと向けられた瞳には怒りが宿っている気がして、 「違うよ」 少女は はっきりと告げた。 「此処で頑張って生きていて。皆に分かってもらって、迎えに来るから、絶対に生きてるんだよって、パパとママが泣きながら言ってた。 この場所も教えてくれたの。小さい頃二人で見つけた場所だって。 水も食べ物も毛布も用意してくれてた。だから、」 『もういい』 スッとシヴァの頭を撫でる。 『分かったから。…悪かったな』 くるっと踵を返し、声をかける間もなく月精はこの場を去ってしまった。 「…シヴァ、行こうか」 「うん」 小さな手を結んで僕らは地上に向かった。 |
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