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大地に亀裂が走るほどの戦闘があったにも関わらず、祭壇は何事も無かったかのような静寂を纏っていた。
月精がそれに手をかける。
清い風が抜けた。
祭壇の周りにあった石畳のある一枚をはがすと、一つの階段が闇への口を開いていた。
警戒しながら一つ一つ降りていく。
どれほど下ったのか、絶壁に丸く囲まれた湖へと辿り着いた。赤く燃えるような空には、命の輝きが一つ二つ。
どうやらAKUMAのウイルスの力は及ばなかったらしい。水は清く澄み、植物が生い茂っている。
右数メートル先には、毛布と非常食と思われる缶詰とその空き缶。側には幾つかの果物や木の実が添えられている。

『シヴァか?』

ぴちゃっ、と水音のした方へ視線をやると、岩陰からゆっくりと顔だけをのぞかせる一人の少女。
緩く波打つブロンドにエメラルドグリーンの大きな瞳。
自分の出来る一番優しい顔をする。

『お前を殺そうとする奴等はもういない』
「…本、当?」
『あぁ』

恐る恐るではあるが、岩陰から出て来た彼女の前に膝を付く。それと同時に飛び込んできた痩せた小さな体を抱きしめた。

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