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我慢できずに開いてしまった口を咄嗟に閉じるが、またも大きく身体が弾む。出せなかった声を代弁するように鎖がガチャガチャと鳴った。

「あははっ。乳首だけでビンビンに感じてるじゃん、ほら、だめだよそんなエッチな反応したら。ほら、ほら、ほらぁ、」
「あっ、っ、ふ――ざけ、…っ、ぅ、ぁ!」

もう焦らすようなことはせず、火のついた身体に追い討ちを掛けるように、ぴん、ぴん、と人差し指を上下する。

指が上へ下へと乳首を弾くたびに、騎士の上半身が壊れたおもちゃのように連続して跳ね上がる。

次こそは、次こそは、となんとか耐えようとしても、身体を伝い、手足の末端で増幅された震えが鎖をやけに大きな音で鳴らしていく。

「ん゛っ!ぅ゛っ! ――やめ、ろ!! こ、な…のっ」
「はっ、良い様だな。国に忠誠を誓った騎士が、敵国の人間の愛撫でビクビク感じているとはなぁ?」

足を組んだまま、ユーインがおかしそうに笑う。

ユーインの言っていることは紛れもない事実だった。だからそれを認めたくなくて、騎士はギュッと目をつむり、大きくかぶりをふる。

「感じて、ない―――感じてない!」

精一杯の強がりも、今度は後ろから投げつけられた嘲笑に打ち壊される。

「頑張ってるけどさあ、―――自分の、見てみなよ」

言われて思わず目を開いた。彼の股間には、その先端からぼたぼたと透明な液を零す陰茎が腹につかんばかりにそそり立っていた。

騎士の目が見開かれる。認めたくない現実から視線をそらすことができなかった。

乳首への刺激で明らかな快感を得ていたというなによりもの証拠。自分はそれを見せつけながら感じていないと言い張っていた、という情けない事実。

「嘘だ、こんな」

敵国の人間に捕らわれるだけでは済まされず、その前で裸体をさらし、身体を蹂躙され、挙げ句の果てにおかしな薬を飲まされたとはいえ、男の愛撫で快感を得ている。

彼のプライドが、これまで築き上げてきたものが少しずつ剥がれ落ちはじめていた。
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