#1



1 はじまり

とてもとても良い天気。
空は青く澄みきっており、鳥ポケモンが気持ち良さそうに飛んでいくのが見える。

そんな中、ヤヅキは欠伸をした。
それはもう、のびのびと。

「デントー、道合ってるのか!?」

「もうそろそろ見えてくるはずなんだけど...?」

「...あ!」

自分たちは今、ある町を目指して歩いていた。
いつまでも見えてこない町にしびれを切らしたのはサトシだった。

少し顔を除かせた建物に向かって走っていく。
と、すぐに感嘆の声を漏らした。

アイリスとデントに引っ張られ、サトシに追い付くと、町を一望出来た。

山間の町、アイントオーク。
今日は収穫祭があり、そのメインイベントであるバトル大会に出場するためにわざわざ歩いてきたのだ。


山道を歩いていると、シキジカに遭遇した。
しかも、一匹は今にも崖から落ちそうだ。

すぐさま動いたのはサトシだった。

「大丈夫だ、今助けてやるからな!」

「さ、サトシ! 慎重にね!!」

「フライゴンで助けてやりたい所だけど驚かすのも危険だしな...サトシ、絶対落ちるなよ」

「わかってる!」

途中、見ていれなくなったアイリスも向かおうとしたのだが、デントに止められた。
流石に2人も行ったら足場が持たない。

シキジカをなんとか抱えたサトシだったが、その重みでバランスを崩してしまった。

「ッ!!」

そのまま崖をずり落ちていくサトシ達。
なんとか一瞬踏ん張ったかと思えば、また落下を始める。
すぐにフライゴンのボールへと手を伸ばしたが、サトシの行動に目を見張った。

なんと、やけになったのかジャンプしたのだ。
だが、崖の反対側までかなりある。

...のにも関わらず、サトシは反対側にあった洞窟の入口へと着地していた。
なんつー身体能力だよ。

「ティニ」

「......?」

ひとまず安心、と息をついていたら何処からか声が聞こえた。
ポケモンだと思うが。

「俺達は大丈夫だぜー!!」

「何で無事なんだよ!凄いけど!」

崖から落ちかけて無事で居られた人間など、見たことがない。

「風が来てる、きっと出られる!!」

そういって洞窟へと入っていってしまったサトシ。

「...フライゴンで迎えに行けたのに」

まぁ、いいか。





2 え、聞き間違い?

「なんかさ、さっき声がしなかったか?」

「声?」

「そ。多分ポケモンだと思うけど」

サトシと合流するために歩く途中。
アイリスとデントにそんな話しを持ちかけた。

「えっと、どんなのだったの?」

「...ティニ っていってた気がする」

「僕は聞こえなかったけど...?」

「じゃ、聞き間違いか」

(ちょ、今のなんか可愛かった)

言わずもがな、さっきの泣き真似の話である。



しばらく歩いた先。
変わった形のした城から、サトシが呼び掛けてきているのに気づいた。

「...さっきまで生きるか死ぬかの危険だったのに、呑気なこった」

「確かに」

心配を返せ、と言ってやりたいぐらいである。
しかも、いい眺めって。
思わずため息が出た。



「この城は大地の剣と呼ばれている」

「大地の剣?」

ふとデントが話を振った。

「ほら、あそこ!
あの谷から飛んできて、此処に突き刺さったと言われているんだ」

「飛んできた!?」

「なんかのポケモンの力じゃねぇの?」

「だとしても、こんなでっかい城が?」

あくまで伝説だというデントの表情は明るかった。

「みぃ...?」

「ポケモンの力でも...これを浮かせるとなるとかなりのもんだな」

城を見上げていたら痛くなった首を押さえながらアイリス達に続いた。

「今となっては本当の事はわからない
でも、この街の果物や木の実が大きくて美味しいのは自分の目と舌で確かめられるよ
ほら、果樹園が見えるだろう?」

「...その辺で見る奴より大きいな」

デントに軽く引っ張られ、果樹園を見る。
確かにその辺で見る木の実よりは大きいし、美味しそうだ。

シェイミなんて食べたい食べたいと駄々をこねだしている

それはピカチュウたちも同じだったらしい。
しかも届くはず無いのに手を伸ばしている。

それになぜか威張りながらいつも腹が空いている宣言をしたサトシには呆れた。

「だったら良いものがあるよ!
僕が作ったマカロン!!」

「お、うまそ!」

「おお、サンキューデント!」

「流石デント!」

皆喜びながらマカロンに飛び付いた。
それを見ている影があるとは知らずに。





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