○ 真犯人、私?

 全く事態についていけない私を尻目に、


「あーなるほどな。ミルクチョコ」
「学内のオカルト風潮に腹の音の放送か……」


 どうしたことでしょうか、みなさん次々に納得していきます。誰か、誰か私にわかるよう説明してください。


「なあコガラシ」
「はいサイタマ先輩」

 それにしてもいかにお知り合いの方とはいえ、いいえむしろ知り合いだからこそ、セーラー服姿の男性に話しかけられるとどぎまぎします。無免ライダー先輩とは全く異なる意味合いですが。どこに目を向けていいのかわかりません。

「俺はこのセーラー服で、お前の学校の潜入調査に行っていた」
「え」
「いいか、俺達ヒーローは、元々ヒーロー協会の依頼でこの学校にある怪人反応を調べるためにここへ来たわけだ。オイ言っとくけど、服はいつものヒーロースーツだったぞ。間違ってもスカーフは結んでない。それがなんでかいつの間にか制服で学生生活だ。でもこれは決して俺の趣味じゃない。校舎内にあふれかえるムキムキのセーラー服軍団に照らし合わせればわかるだろうが俺たちは何者かに操られていた可能性が高い」
「……はい」
「納得したか」
「はい」
「俺たちは変態じゃない」
「はい! サイタマ先輩もジェノス先輩も変態ではありません!」
「よし」


 腰に手を当てて頷くと、サイタマ先輩はぐるりと周辺を見回しました。


「おお、まじでひっこんだな」
「なにがですか?」
「見て見ろコガラシ」


 指さされた先は民家です。先ほどまで今にも警察署へ入電しそうだったお宅のひとつ。

 あれ。

 先ほどまでこちらの動向をうかがっていたご近隣のみなさまがことごとくカーテンを閉じています。

 あれ。
 あ。


「私が納得したから、サイタマ先輩達は変態じゃないと思ったから?」
「そういう事だな」
「ようやくわかったみたいね」

 タツマキお姉ちゃんはあきれ返った鼻息をふんと吐き出し、

「学校のオカルトも、全部アンタよコガラシ」

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