>> 5.きみとぼくとカフェオレひとつ



カーテンの隙間から差し込む朝の光に、ゆっくりと目を開ける。
いつもより、すいぶんゆっくりとした朝だ。

「あれ…?」

ふと横を見ると、そこに寝ているはずの…
翔さんが居ない。

「翔、さん?」

昨夜、寝る前は確かに一緒だったのに。
一体どこに行ったんだろう?

寝室を出て、リビングの扉をゆっくりと開けると、
ソファーで新聞を読んでいる翔さんと目が合った。

「あ、由衣ちゃん起きた?」

「おはよ。翔さん、早いね?」

「うん、早く目が覚めちゃって。由衣ちゃんもコレ飲む?」

そう言いながら、翔さんはコーヒーの入ったマグカップを顔の位置まで上げる。

「要らない。ブラック飲めないもん」

「ブラックじゃないよ?」

「え?ホント?」

「うん。たまには甘いのを飲んでみようかと思って」

「え!じゃあ、お砂糖も入ってんの?」

「少しだけど」

「へぇー」

差し出されたマグカップを覗いて見ると、いつもとは違うキャラメル色の液体が揺れていた。

「飲む?」

「うん。コレ飲んでいいの?」

「いいよ」

カップを受け取って、両手で包むようにしながら少量を口に含む。

「あ、ちょっと甘い。美味しい!」

「牛乳も泡立てたからね。もう残ってないけど」

「え?私がいつも使ってるやつ?」

ブラック派の翔さんが…
温めた牛乳を泡立てるクリーマーまで使ったとは。

「そう。なかなか楽しかったよ」

「牛乳飛び散らなかった?」

翔さんなら、そういうミスを犯しそう…。

「それがさ。ノーミスでできた!」

「えー。やるじゃん!!じゃあさ、」

「ん?」

「おかわり、ちょうだい?」

「あはは。それ気に入った?」

「うん」

「待ってて。とびきり美味しいの作るから!」

「うん!」

喜んでキッチンに消えていく翔さんの背中を見送って。
空になったマグカップをテーブルに置く。

半分くらい、飲ませてもらっちゃったから。
今度は私の分を、翔さんと2人で。


半分こ、しようね?





-END-
実を言うと…翔さんが“ラテ派”だと知らなかった私です。
本編で、そこの設定だけ直せないので…このままブラック派でいかせてください。

2012.04.24


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