>> [1]ベランダで

「今日は外で飲まない?」

そんな翔さんからの誘いを受けて。
2人でベランダへと移動すると、
影ができるほどの月明かりに照らされる。

「わぁ!」

「かなり、キレイだろ?さっき帰る時気付いてさ」

「うん…」

片手にビールの缶を握ったまま、翔さんは私の肩を抱き寄せる。

「翔さん?」

「んー?」

「今思ったけど、ベランダ出て平気?」

まさかとは思うけど…
もしもこの部屋に翔さんが居るとバレてたら、
ベランダなんてあまりにも危険な場所じゃない?

「平気。つか、そこまで狙われては無いと思うよ?」

「そうかな…?」

嵐のメンバーのスキャンダルなんて。
マスコミが飛びついてトップニュースになるくらいの
大きなネタだと思うけど…

「じゃ、サービスしとく?」

そんなセリフと共に、口付けを落とされて。
慌てて窓ガラスに背中が付くまで後ろに逃げる。

「ダメだってこんなの!」

「逃げたな?」

「え!逃げるでしょ普通に考えて」

「ダメ」

「へっ?」

翔さんはぐいっと缶ビールを煽って。
空になった缶をベランダの床に置く。

そして。
ゆっくり、私との間合いを詰めてくる。

「俺がイイ、つってんだからさ?」

「あ………うん」

ガラスに両手をついて。
グッと顔を近付けてくる。

「拒否権なんて、ねぇの」

「んんっ………」

拒否も抵抗も、できないようにしているくせに。

それでも、その荒っぽい口調とは裏腹な
優しいキスに、一瞬で夢中になる。


不意に目を開けたその先には、翔さんの顔越しに


柔らかな光を放つ、満月が見える。


今、

私たちのことを見ているのは、

お月様だけだから。



―内緒に、してね?




-END-


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お題提供:hs_title(PC専用サイト)
Kiss×Kissで10のお題より

(私にしては、ちょっと珍しいS翔さんでしたwちなみに本編での十六夜のお話よりも前に書いた作品です)


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