>> 1.貴方の声が聞きたくなる



今夜も、翔さんにおやすみなさいのメールを送って。
そっとベッドに潜り込む。

絶対にやるべきではないと
最初は思っていたけれど…

どうしてもどうしても携帯の待受に
笑っている翔さんが居て欲しくて。

雑誌の切り抜きを撮影したものを登録している。
これ、もしも誰かに見られたら
どんなリアクションが返ってくるのだろう。

しばらく待受画面を見つめて。
時間が経つと、省エネモードで画面が真っ暗になる。

それが、タイムリミット。

「おやすみなさい」

そう小さな声で呟いて。
静かに目を閉じる。

寂しいけれど、その寂しさに
負けないくらいの強さは
以前より、ついたのかもしれない。

でもね。

今日、私に起こった出来事を
翔さんに聞いてもらえないのは…

やっぱり。

つまんないな。

ゴロンと寝返りをうったその瞬間。
携帯が鳴って。

「翔さん?」

『由衣ちゃんごめん。寝てた?』

「大丈夫。ねぇ?」

『んー?』
「いつもはおやすみなさいのメールしたらかけてこないのに」

『なんで今日はかけたかって?』

「……うん」

『何となくだけど』

「うん」

『由衣ちゃんが、寂しい思い抱えてそうな気がして』

「………う、ん」

まさか。
気持ちが伝わっているなんて。

『少し…話そっか?』

「いいの?」

『もちろん!』

「ありがとう」

たとえ会えなくても。
声を聞いているだけで幸せな気持ちになれる。


そんな、夜。





-END-

短編の初書きでした。
読み返すと、この頃はずいぶんとあっさりしてるなぁ…といった感じですね。

2012.04.08




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