>> 18.まだ寝てる?



カーテンの隙間からの朝日が眩しいほどに差し込んできて。
ベッドで寝返りを打ちながら、もう少し寝ようか、それともそろそろ起きようか
迷いながらやっぱりゴロゴロしていると

「翔さん!起きないの?」

寝室に彼女が入ってくる。

「…何時?」

「んとね、9時半?」

「まだはえーよ」

休日は、朝ご飯と昼ご飯を兼用できるように11時頃に起きるようにしてんの。
それくらいのこと。知ってるくせに…。

「じゃあ、寝る?」

「うん」

「なら私出かけてくるね?」

「へ?」

いやいや。そりゃないんじゃないの。

「だって、寝てるんでしょ?すぐ戻ってくるから」

「ちょっ!ちょっと待ってよ由衣ちゃんっ!」

「んー?」

よくよく見ると、彼女はもうすっかり出かける準備ができていて。
化粧まで完璧だ。

「何だよそんなに決めちゃってさ……」

「出かけるんだもん。メイクくらいするって」

「どこに行くの?」

「んーと。本屋さんに行って……そのままちょっとカフェでのんびり」
「ひとりで?」

「だって翔さんとは行かれないじゃん?カフェなんか」

「まぁ………な」

そこを突かれると痛いんだけど…

「あと、最後買い物行ってから帰る」

どこがすぐに戻る、なんだよ…
めちゃくちゃ時間かかりそうなスケジュールじゃねぇか。

「もっと早く戻ってこれねぇの?」

「だってー翔さんは今日ジムに行くんでしょ?どっちみち別行動なら、」

「分かった!行かない」

「えっ?」

「行かない。ジム行かない。んで俺も今から起きるから!!」

上体を起こして。
近づいてきた彼女の腕をつかまえる。

「寝ててもいいよ?」

「今朝はやけに意地悪だな」

「だってそろそろ出かけたいし…」

ちょっと待て。
由衣ちゃんにとっては俺より本屋なのか?

「何の本を買いに行くワケ…?」

「んふふ、内緒」

「えぇー!何それ?」

「じゃ。一緒に行く?…て、ムリか」

「行く。行こう!よし!出かけよう!!10分待ってよ風呂行って支度すっから」

「ふふ、ゆっくりでもいいよ?私電車のつもりだったから」

「あ。あぁ…」

俺の車なら。
電車を使うより早いってことか。

「コーヒーだけ淹れておくね?」

「ん」

「あ!翔さん?」

「あ?」

俺の首に手をかけて。
由衣ちゃんはそっと俺に顔を近づける。

「おはよ」

「あっ……おは、よ」

「口紅付いちゃったから、流してきて?」

そう言っていたずらっぽく、笑うから。

「お返し」

「えーっ!やだ、もう!」

口紅がついても一番差し支えないだろうと判断した手の甲に。
ピンクがかったキスマークを、付け返す。

「洗えるところに、したじゃん?」

「もう、早く上がってこないと置いていくから!」

「はぁーい」

もう少し寝かせてくれたらいいのにとか。実はさっきまで思ってたけど…


こんな休日も。


悪くないな。





お題提供hs_title(PC専用サイト)

-END-
今回はお題サイトよりタイトルをお借りしました〜。あんまり、甘くなかった、かな?

2012.09.07


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