目を覚ますと見覚えのある天井…自分の部屋だった。
「…大丈夫?」
隣を見ると先程の少女が涙目で座っていた。手には濡れたタオルがあった。看病してくれたのか。
「あぁ、大丈夫だ。すまなかったな。」
俺は起き上がり授業の準備をしようとした。こいつの膝が当たったところはもう痛くなかった。まぁ、あんな倒れ方をしてしまったから少しは恥ずかしいが…。
「すまないなんて言わないでくれ!全部、僕のせいなのに…」
バンッとベッドを叩き、大声を出す。その後慌てて肩をすくめる。そのまま下を向きブツブツと何かを言い始めた。
「これは俺の不注意だ。だから気にする事は無い。」
そいつは顔を上げると笑顔で「ありがとう」と言った。不覚にも一瞬ドキッとしてしまう。…そんなことより!俺は今までずっと疑問に思っていたことを口に出す。
「そういえばお前は誰なんだ?」
そいつは「そーだったね」と笑いながら答える。
「僕は葉野珠希。今日からこのオシリスレッドでお世話になるよ!」
「つまり転入生か」
「そゆこと」
珍しいな…。転入生でレッド、しかも女子とは。
「デュエルが弱いか、よっぽどのバカかのどちらかだな」
相当テストの点数が低くないとレッド行きにはならないし、多少デュエルが弱くてもイエローのはずだ。葉野のスペックの低さを考えるとこれから先が不安になる。ふと葉野の顔を覗くとどんどんと真っ赤に膨らんでプルプルと震えていた。
「お、おい……?」
どうにか落ち着かせようとしたが逆効果だったようで、葉野は俺をきっと睨むと叫ぶ。
「うっさいわ、バカーーーー!!!」
それと同時に目覚まし時計が鳴り響いた。
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