どうにか葉野をなだめていると、

「ふあぁ…もう朝か?」

十代が目を覚ましたようだ。珍しいな。いつもならもう一度起こさないと起きないのにな。やっぱり葉野の大声が原因か。

「おはよう、十代。」

「おう、おはよう珠希。」

十代と葉野が当然のように挨拶を交わす。

「お前ら、知り合いなのか?」

俺の問いに葉野は首を横に振った。

「さっき知り合ったんだ。」

すると十代がそうそうと付け足してきた。

「お前倒れただろ?その時に部屋に運ぶのを手伝ったんだよ。」

「君の部屋が分からなくてね。だから十代に助けてもらったんだよ。」

そうだったのか…。俺は納得と同時に一つだけ不安があった。

「十代……。俺が倒れた原因知ってるか…?」

こいつだけには知られたくない。もし知らなければ墓までこのことを隠しておかなければ。

「あー。珠希の膝が顔に当たったんだろ?大丈夫かよ?」
「……………あぁ………」

最悪だ……。このままではきっと広まってしまうだろう。丸藤翔やティラノ剣山に始まりゆくゆくは天上院君にまで…。

「どうしたんだい?顔色が悪いが…。」

十代に限って言いふらすことはないと思うが、念のためだ。

「十代!貴様、他人にこのことを話したりしたら許さんぞ!!」

俺は十代に詰めよる。

「安心しろ!絶対に言わねぇから!」

と親指を立ててニッと笑った。こいつのことだからきっと大丈夫だろうと安心し、十代から離れ後ろを振り返った。

「ねぇ、君の名前は?僕まだ君の名前を聞いていないんだが。」
「近過ぎるぞ!!」

振り返った先に葉野がいた。

「万丈目準だ。万丈目さんと呼べ。」

「分かった。よろしく万丈目。」

万丈目さんだっ!!俺たちはそんなやりとりをずっとしていた。



「万丈目ー。遅刻するぞー?」

不意に十代がそんなことを言った。よく見てみると、葉野と十代は既に制服。俺は……部屋着。




最悪だァッ!!

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