エリアスの飼い犬は真っ黒な大型犬だ。すらりと格好良くて、とても賢い。名前はミヒャエルという。
彼にはとある秘密がある。彼とエリアスしか知らないことだが、なんと人間になることができるのだ。人間になったミヒャエルは大人の格好良い男の人で、一目見た瞬間に好きになった。もちろん犬のミヒャエルのことも好きだけれど。
二人きりで留守番をしていると、ふとミヒャエルと話がしたくなった。鼻先に口づけると、ぽんと音を立てて彼の身体が人間のものになる。こうすると彼が人間になれると気づいたのは偶然だ。人間のミヒャエルは、犬の耳と尻尾がある以外は立派な男の人だ。半ば見惚れながらにこにこ見つめていると、急にぎゅっと抱き寄せられた。頭に疑問符がわく。なんだかミヒャエルらしくない。遠慮がなくてわがままなのが常なのに。
「やろう」
「なにを?」
きょとんとして問いかけると、ミヒャエルは難しい顔をした。おかしな沈黙が下りる。
「子作りしよう」
「僕とミヒャエルの子供ができるの?すごい」
ミヒャエルの率直な言葉に、ぱあっと無邪気に笑ってミヒャエルに身体をすり寄せた。彼のことがとても好きだから、子供ができるならこんなに嬉しいことはない。
「あ…でも僕、ミヒャエルの子供できるかな」
首を傾けて問いかける。エリアスは犬ではないし、女の子でもない。もしかしたら彼の子供を産めないかもしれない。
「別に、できなくてもいいし」
「そう?それならよかった」
なにをするのか具体的にはよくわからないけれど、ミヒャエルは賢いから知っているはずだ。ミヒャエルとだったらなにをしても怖くない。今までずっとそうだった。
それなら、と服を脱ぐよう指示されたので全部脱ぎ捨てて、生まれたままの姿になる。ベッドに押し倒されて、ミヒャエルの大きな体がのしかかってくるのをどきどきしながら見つめた。何をすればいいかよくわからないけれど、うまくできるだろうか。ミヒャエルを失望させたくはない。一番大好きな友達なのだから。
「ひゃう、」
首筋や顔を舐められて身体がぞくぞくする。犬の姿の時に舐められるのは慣れているけれど、大人の男の人の姿で身体を舐められるのはなんとなく恥ずかしい。
「や、やん、そこ、だめ…っ」
女の子でもないのに胸を舐められて、すごく恥ずかしくなった。だめ、と言うのにミヒャエルはしつこくそこばかり舐めるから、びくびく身体が震える。エリアスは飼い主なのに、いつもミヒャエルは言うことを聞いてくれない。舐められているうちに口元から甘ったるい声が漏れて、足の間が切なくてたまらなくなった。
「ん、んっ…はぅ、」
ミヒャエルは熱い息を漏らしながら、無言でエリアスの身体の至る所を舐めた。小刻みに身体が震えて、熱が溜まる。ひどく頭がぼうっとした。
「ふぇ…?っああ!ん、あ、だめ、そこはだめっ、きたな…あああっ!」
ざらついた舌に足の間を舐められて、体がびくびく震える。幼茎をじゅるりと舐めあげられてぞくぞくと寒気が全身を駆ける。まだ幼いものが硬度を増してふるりと蜜を零した。
「ふぁ、あ、だめ、へんなの、でちゃ…ああん…っ!」
どくん、と大きく心臓が鳴って、体から力が抜ける。身体から熱いものが放出されたのがなんとなくわかった。これはなんだろう。漏らした訳ではない、という確信めいたものがあった。ひどくおかしな感覚だけど、不思議と不快感はなかった。むしろ気持ちよかった、ような。
ぼんやりとミヒャエルの顔を見つめると、大きな体をすり付けてきた。へにゃりと顔が緩む。そばに彼がいると思うだけでなんだか幸せだ。
「…あのね、すきだよ」
「しってる」
「…えへへ」
ぺろりと顔を舐められてくすぐったい。ミヒャエルはいつも自信たっぷりで優しくて格好良い。一番大好きな友達だ。たまに噛まれたりはするけど痛くされることはあまりない。痛いのもミヒャエルにされるのならなんだか気持ちいいのだけど。ひどくされて気持ちいいのはミヒャエルだけだから、それだけ彼のことが好きだということなんだと思っている。
「あ…っ!ミヒャエル、だめ、」
ミヒャエルの指が自分でも触れたことのない部分に触れて、かあっと顔が熱くなる。きたないよ、と言ったけれどミヒャエルはどこ吹く風で、何かを探すように細い指が動いた。恥ずかしいところを触られるより、ミヒャエルの指が汚れるのではないかと思って気が気でなかった。思わず足を閉じてしまう。
「あ、ふぁ…」
指が中を抉って、おかしな感覚を覚えた。電流が背骨を走るような感覚。触ってもいないのに身体の中心が熱を帯びてひくりと震えた。きゅうと足を閉じると指の感覚がありありと感じ取れた。
「あっ、なんか、へん…っ」
「大丈夫」
「ん…ミヒャエルが、そう言うなら」
ミヒャエルがいつになく優しい声を出しながら顔を舐めるので、本当に平気な気がしてくる。ミヒャエルがやりやすいように、おそるおそる足を開いた。緩やかに内壁を抉られるのがたまらなく気持ちいい。
「あ、あん、ミヒャエル、ミヒャエルっ…!」
目の前の首にすがりついて、あまやかな声を漏らした。目の前がぼうっと霞んできたけれど、ミヒャエルに捕まっていたら怖くない。喘ぐ呼吸の合間にすき、と呟くと優しくかき回されて、中がとろけていくような気がした。
「あっ、ああ…っ!ぼく、また、へんなのでちゃ…ぁ!」
びゅくり、とまた熱が放出される感覚。ぬるりと足の付け根が濡れて、のしかかっていたミヒャエルの腹にも白濁がかかったのが見て取れた。違和感はあるけれど、ミヒャエルが当たり前のような顔をしているから大丈夫なのだろう。けれど、出したものをぺろりと舐められるのは恥ずかしくてならなかった。あんまりきれいなものではない気がするし。
「わ、」
抱き上げられて這い蹲るような姿勢にされて、顔が赤くなる。ミヒャエルの刺すような視線を感じた。一番恥ずかしいところを見られているのだ、と思うだけで死んでしまいそうなくらいはずかしい。
「あ、あんまりみないで…」
「いまさら?」
「う、うう…」
「大丈夫」
あやすように頭を撫でられて、唇を噛む。恥ずかしいけれど、ミヒャエルのためならそれくらい我慢しなくては。
おとなしく動物のような姿勢になると、肩に手を置かれる。心臓がばくばく音を立てていた。堅いものが蕾に触れて、びくりと身体が強ばる。
「あっ、ああああああ…っ!」
仰け反った喉から大きな声が漏れる。びくびくと足が痙攣した。押し開かれるのが痛くてたまらないのに変に気持ちよくて、唇がはくはくわななく。痛いのが気持ちいいような。
「あ、ひぁ、あっ、は…」
「エリー、まだ途中」
「ふぇ、」
涙に濡れた瞳で振り向くと、確かにまだ入りきっていなかった。この小さな体にミヒャエルの大きなものが全部入るのだろうか。体が壊れてしまうかもしれない。背中に這い寄るような恐怖を覚える。
「やめてもいいよ」
「え」
ミヒャエルがぽつりと呟くので、反射的に見上げた。無表情だけれど、瞳はどこか辛そうな色をしている。中途半端な状態は彼にとっても辛いのだろうか。いつも格好良いミヒャエルのそんな表情は見たくなかったから、ちょっとくらい痛くても受け入れようと決めた。
「いいの、がんばる」
「そう」
シーツを掴む手に力を込めて、奥深くまで入ってくるものに耐える。ぎゅうと目を閉じているうちにゆっくりと腰が進められて、大きなものがずんずん奥まで入り込んできた。倍加する痛みと快楽。
「エリー、入った」
ぺろりと首筋を舐められて、目を開く。足の間に入り込んだものが存在を主張して、ミヒャエルのものになったんだと思った。へにゃりと顔が緩む。ちゃんとミヒャエルを受け入れることができたのだ。
「ミヒャエル、だいすきだよ」
「…しってる」
無愛想に答えると、ミヒャエルの腰がゆっくりと打ち付けられ始めた。奥を抉られるのも引き抜かれたものがまた中に入ってくるのも気持ちよくて、だらしなく口が開いたままになってしまう。
「あ、あ、ひぅ、」
とろとろした快感に頭が茹だった。ミヒャエルの動きは意外なくらい優しくて穏やかだった。彼の性格を考えたらもっと激しくしたいだろうに、遠慮させている自分が申し訳ないと思う。
「はぁ、ん、ね、ミヒャエル、我慢しなくていいよ」
「わかった」
「ーーひぅ!」
ミヒャエルがそう言うと同時に、奥を激しく突き上げられてがくがくと身体が震えた。突っ張った手足に汗が伝う。
「あ、あん、あ、は、ひぅぅ…!」
がつがつ腰を打ち付けられて、甘ったるい声が漏れた。頭がぼんやりして、気持ちいいことしか考えられない。快楽を享受しようとたどたどしく白く細い腰が動いた。ミヒャエル、と何度も何度も名前を呼ぶ 。打ち付けられるうちに何度も絶頂に達して、あられもなく喘いでしまう。
「ああっ、ひ、おなか、ぐちゃぐちゃ、――はあああああっ!」
幼気なものがひくひくと震えながら、とろとろ蜜を零す。口はもう開きっぱなしで、唾液や涙で顔がどろどろになるのがわかった。ミヒャエルの大きなものが出入りするのが気持ちいい。赤く染まった耳を舐められるだけで身体が震えた。断続的な快楽を与えられて、何度も絶頂させられる。
「は、あ、…ひ、」
「エリー、おれも、いく」
「ん、わかっ、た、……ひ、あああ…っ!あ、あつい、おなか、こわれちゃぁ…!」
注がれているものが熱いのか冷たいのかわからない。お腹が膨らんで、破裂してしまいそうな錯覚を覚えた。どくどくと液体が注がれるうちにも腰が打ち付けられて、身体が震えるのが止まらない。
「あぁう、ま、まだとまんな…あっ、ぼく、こわれちゃうよ…っ!」
「んっ、気持ち、いい…」
「ああ、ん!ミヒャエル、きもちい、の…?あっ、ぼく、も、ふぁ、あああああ!」
長い長い間液体が注がれて、何度も頭が真っ白になる。身体を支えていた腕はすっかり力を失って、シーツに顔を押しつけながら喘いだ。浅ましく腰が動くのを止められない。快感をもっと貪っていたい。
ずるりとミヒャエルのものが抜かれると、ひどく物足りなくてひくりと震えた。放心して力の失せた身体を優しく抱き起こされて、色々なもので汚れた顔を舐められる。犬のミヒャエルが心配しているときにする仕草だ、と思うとなんだか嬉しくなった。
「は、ん…」
ミヒャエルに抱き寄せられながら、膨らんだ腹を撫でる。薄い腹部は外から見てわかるくらい膨らんでいた。ミヒャエルに出されたものがつうと太ももを伝った。なんだかひどくもったいない気がする。せっかく彼がくれた子供の種なのに。
「ん…ミヒャエルのあかちゃん、できたらいいな」
ミヒャエルを見上げながら呟くと、緑の瞳が不思議そうに瞬いた。だって、と無意識に甘えたような声が出る。
「そしたらずっとそばにいられるし、ミヒャエルのおよめさんになれるよ」
「…べつに、こどもができなくてもそばにいてやる」
「ほんと?僕のことおよめさんにしてくれる?」
じっとミヒャエルの顔を見つめて問いかけると、ぺろぺろ顔を舐められた。ふわふわ笑いながらぎゅっと抱きしめる。体中が気持ちよくて、ミヒャエルのことだけが頭に浮かぶ。もっともっと気持ちよくなって繋がっていたくて、身体をすり付けた。
「ミヒャエル、もっかいきもちいいのしよ」
とろりと熱を帯びた表情で口づけると、強い力で押し倒された。




すやすや幸せそうに眠る小さな顔をぺろりと舐めた。ふにゃりと口元が綻んで、むにゃむにゃ寝言を言っている。ちょっと口を大きく開けたら顔を全部食べてしまえそうだ。手も足もなにもかも小さくて弱々しい。だから、守ってやらなくては。
「すきだ」
いつも気恥ずかしくて言えない言葉をそっと囁いた。はじめて目が合って、今よりずっと小さなエリアスにそばにいてほしいと言われたときから大好きだ。ミヒャエルすきだよ、と言ってくれる声も、綺麗な顔立ちも、素直な性格も。そんなことは絶対に言えないけれど。
たまには寄り添って寝てやろうと思う。小さな身体の横に丸まって目を閉じた。



*← →#

TOP - BACK




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -