人気のない空き教室で、大小二つの人影が重なっていた。
まだ若い男が、エリアスの小さな体を強い力で抱きしめていた。男の腕の中でエリアスはひどく混乱していた。男との関係は単なる教師と生徒というだけでしかない。今だって授業の手伝いをしてくれと頼まれたからついてきただけのことだった。それなのに、告白された。
彼を好きだと思ったことなど一度もない。その上エリアスには他に好きな人がいるのだ。断る以外の選択肢などなかった。
「先生、僕、」
「ミヒャエルと付き合ってるんだよね?知ってるよ」
にっこりと笑った男に背筋がぞくりとした。ミヒャエルとつきあい始めたのは本当に最近のことだ。何故、この男が知っているのだろう。混乱していた頭がようやく恐怖を感じ始めた。
「放してください、僕、もう行かないと」
「気にしなくていいんだよ、エリーは今から俺の物になるんだから」
「なに、を…先生、放してください…!」
抵抗しようと渾身の力で胸を押したが、男の体はびくともしなかった。大きな手がねっとりと背を撫でる。寒気がした。
「好きだよ、エリー。ずっと君のことかわいいと思ってたんだ」
「やめ、て、くださ…っん!」
服の中にひんやりした手が差し込まれて、身体の上を這い回る。小さな身体に覆い被さった男の熱い息が、ねっとりと耳元に注がれた。ひ、と小さく息を飲んだ。
「や、やめっ…!」
「震えてるの?かわいい」
嘲弄するように言われてかっと顔が熱くなる。胸を弄っていた手が下肢に伸びてエリアスのものを掴んだ。
「っひ、」
強ばる体を抱き留めた男は、親指で先端を責め立てながら全体を擦りあげた。ぐちゃぐちゃと水音が響く。羞恥と悔しさで唇を噛みしめる。嫌悪感で体が粟立つのに、どうしようもなく反応してしまう。自分でもあまり触らない場所を他人に擦られてびくびくと身体が震えた。
「あ、んあ、や、やだ、放せ、放して…!」
敬語を使うことも忘れて、手足を振り乱して暴れる。男はいらだったように手の動きを早めた。すぐに目の前が白んでいく。
「抵抗するなってば」
「っあ、やああああああ…っ!」
ひくん、と身体が跳ねる。白濁が床に落ちた。力の抜けた身体を男は愛しげに抱き留める。ちゅ、と肉厚の唇が首筋や胸に何度も吸いついてきて、そのたびに背筋にぞくぞくと寒気が走った。恥辱と恐怖で泣き出したい気がした。
「も、こんなの、やめて、ください、」
「嫌だよ」
「あ、やめ、やめて…!」
哀願する少年の足を割り開くと、男は奥まった場所に指を差し入れた。激しい痛みと吐き気に歯を食いしばる。ずぶずぶと太い指が中を犯した。激しい違和感と痛みに涙を流しながら必死に足を閉じてみるが、押さえつける力は全く弱まる気配がない。男の指が何かを探すように動き回る。
つぷり、と指がある一点を掠めた。その、瞬間。
「ひあ、ああああああ…っ!?」
背がしなって、異常なまでの快楽が体を襲う。これまでに感じたこともない、圧倒的な刺激。混乱する頭で見上げた男はにんまりと笑った。
「な、に…?」
「ここは前立腺っていって、気持ちいいところなんだ」
男は本来の職分を思い出したのか、教師らしい口調で答えた。しかしその瞳には狂喜が浮かんでいる。
「よかった、安心したよ。ミヒャエルとはまだしてなかったんだね。君を全部俺の物に出来て嬉しいよ」
「ひ、ぐ、ふぅう…っ」
押さえようもない嗚咽が漏れた。まだ誰にも許していなかった体が男の手によって散らされようとしていた。男は口角を上げると滝のように流れる汗をねっとりと舐めた。指の本数がゆっくりと増えて、ぐちゃぐちゃとかき回される。嫌悪や怒りはすぐに快楽に押し流されて、甘い喘ぎばかりが零れた。
「あ、あっあっあ、っは…っ!」
「そろそろいいかな」
ずちゅり、と音を立てて指が引き抜かれる。男は広がった穴をつうと撫でた。足を折り畳むように押さえつけて、秘所が男の目の前に晒される。 
「や、やめろっ、や…いやだっ!」
身を捩って絶叫するエリアスに男はにっこりと笑いかけると、閉じた秘部に猛ったものを押し当てた。エリアスは恐怖で大きな瞳を見開く。
「エリー、ちゃんと見ててね。君が俺のものになるところ」
「いや、いやだ、ミヒャエルたすけっ、あ、あああああああっ!」
ゆっくりと、男の凶悪なものが小さな身体を無慈悲に押し開いていく。激痛が身体を灼いた。誰も受け入れたことのないそこは抵抗したが、男の力の前にはあまりに無力だった。
「あ、がっ、痛い、いたっ、あああっ!」
狭いそこがぎちぎちと悲鳴を上げる。そこはひどく狭く、突き入れられたものの形や血管までありありと分かりそうだった。違和感と痛みで泣き叫ぶエリアスとは対照的に、男の表情は快楽に酔っていた。美しい少年を自らの手で汚す喜び。
「あー、すっごい気持ちいい。エリーも気持ちいいでしょ」
「気持ち、わるいっ、いたっ、も、嫌だ、やだ…っ」 
「嫌じゃないだろ」
男は細い腰を掴むと、音を立てながら中を深くかき回した。背をしならせながら震える体に容赦なく腰が打ち付けられる。酸素を求めて唇が戦慄いた。
「あ、うあ、や、ミヒャエル、」
「うるさいな」
「っ、」
男の大きな手がぱしんと頬を叩いた。涙に濡れた瞳で睨みあげると、男は無表情でエリアスを見つめていた。怖い、と思う。暴力で蹂躙されるのがこんなに恐ろしいことだとは思わなかった。
「男が好きなら俺でもいいだろ。どうせミヒャエルとはやってないんだし」
「や、いやだ…こんなのいやだ、」
ミヒャエルのことが好きなのに、こんな男に犯されるなんて。彼とはまだキスすらしたことがないのに好きでもない男に穢されてしまった。これでは彼に会うことができない。会わせる顔が無い。
いやだ、と子供のように叫びながら暴れようとする細い腕を強い力で押さえつけられて、がりりと歯を立てられる。薄く脆弱な肌から血が滲む。白い体に紅い痕が散らばる。無垢な身体が汚されていく。
「どうせ他の男とやった淫売なんて捨てられるよ」
「…ふ、う、」
見開かれた青緑色の瞳から涙が伝った。男の言葉はひどく恐ろしかった。ミヒャエルは自分を捨ててしまうだろうか。想像するだけで死んでしまいそうな気がする。
男はふっと優しく笑った。
「心配しなくても俺が遊んでやるからさ、ん、」
「あ、あ、やだ、やだあ…っ」
びゅくびゅくと中に汚液が注がれて、眦から涙が溢れた。細い足の間から血の混じったものが伝う。大きな手が細い太ももを掴んだ。奥を抉られて華奢な身体がひくひくと震える。
「あっ、やだ、も、やだ、ミヒャエル、たすけて、たすけ、」
「だから、ミヒャエルが来るわけないって言ってるだろ」
「ひ、く、うう…っ」
ぱしん、と再び頬を張られて、涙腺が決壊した。こんな風に汚れてしまった自分を、彼は見捨てるだろうか。捨てられるのが怖い。ミヒャエルに軽蔑した目で見られるのを想像すると涙が溢れた。男の厚い舌が零れ落ちた雫を舐めとる。
泣き濡れる少年をまじまじと見つめて、かわいい、と満足そうに男は笑った。再び男のものが注がれて、腹に焼けるような熱さを感じる。くたりと力が抜けた身体を男が軽々と抱き上げた。
「あ、あっ…」
抱き上げられたまま壁に押しつけられて、ずぶずぶと長大なものが小さな身体を責め立てた。エリアスはとうに意識が飛びそうになっているのに、男のものはまだ萎える気配がない。逞しいそれが先程まで純潔だった少年を蹂躙する。
「も、や、やなの…」
譫言のようにつぶやく唇はねっとりと舐めあげられた。男は小さな口腔を念入りに貪った。零れ落ちそうな唾液を念入りに飲み下す。
唐突にがくん、と身体が震えた。おかしな熱が身体の奥からこみ上げて、頭の中がひどく混乱する。
「ひぁ、あ、あぅ…っ、あ、なんか、へん、へんなの、」
「っと、大丈夫?」
「あ、ああっ、だめ、だめぇ…っ!」
びくひくと体が震えて、恐ろしいほどの寒気に襲われた。幼気な茎から蜜が伝う。吐精しなかったというのに体ががくがくと痙攣した。頭がおかしくなりそうなほどの刺激と快楽。何も考えることができない。
男は小刻みに震える体を興味深そうにまじまじと見つめると、にやりと笑って頬を撫でた。
「無理矢理やられていったの?君ってすっごい変態なんだね」
「ちが、ちがう、こんなの、ちがう…っ」
「違わないだろ、こんなにひくひくしてるのに」
「ひぁ、あああっ!」
ぐちゅ、と奥を突かれてはくはくと唇が痙攣した。無理矢理犯されて苦しくて痛いのに、どうしようもない快感が感覚を塗りつぶす。気持ちいい、と感じた自分に愕然とした。
男は唇に笑みを浮かべて、細く小さな身体を思い切り抱き締めながら唇を何度も何度も落とした。ツンと尖った紅い飾りを噛むと嬌声が漏れる。ぐちぐちと奥を突いてやると小さな体が細かく痙攣した。少年期の身体は哀れなほどに素直で、愛しさすら覚える。
「ひぁ、あ、あぅ…っ、やだぁ、ふぁあああんっ!」
「女の子みたいだね、これからはエリーちゃんって呼んであげようか」
「あ、あぅ、やだぁ、やなの、こわい、こわいよぉっ…」
ついに理性の糸がぶつりと切れて、恥も外聞も無く泣き叫んだ。両目から止めどなく涙が零れた。頭の中が混乱してぐちゃぐちゃになっていた。ミヒャエルのことが好きなのに、男に無理矢理犯されるのが気持ちよくてたまらない。エリアスの身体はもう壊れてしまったのかもしれない。
「こんなんじゃミヒャエルに嫌われるだろうな。好きでもない男に抱かれてよがってるなんて」
「ひ、あう、ごめ、なさ、やだ、やなの、もうやだ…っ、」
「大丈夫、俺が気持ちよくしてやるから」
「あ、も、やだ、やだああああっ!」
胎内に大量にそそぎ込まれて、腹が破裂しそうな錯覚を覚えた。幼気なものがとろとろと蜜を零す。頭がふわふわして真っ白に塗り固められていく。気持ちいいのが怖くて怖くてたまらない。ミヒャエルのことが好きなのに。彼は許してくれるだろうか。
「ひ、く、ごめ、なさ、も、ゆるして、」
「あー、かわいい」
男は舌なめずりすると、人形のように軽い体を乱暴に揺さぶった。二人だけの教室に、しゃくりあげるような喘ぎ声と男の息づかいが響き続けた。




ミヒャエルの恋人は小さくて華奢で、けれど見た目よりずっと気が強い。恋人といっても付き合ったばかりで、まだキスすらしたことがない。彼はひどく潔癖なのだ。恋人と呼べる人間はミヒャエルが初めてなのだと僅かに頬を染めながら言っていた。
ミヒャエルも割と奥手な方だったから、親友だった頃から二人の仲はそれほど進展していなかった。したいと思うことも何度もあったけれど、彼のことを大事にしたかったからだ。
けれどそろそろ、キスくらいはしたいと思う。あの小さな桜色の唇に触れるのを想像しただけで顔が熱くなってしまう。お互い今まで恋人がいたことがないから、はじめてのことばかりで大変だけれど毎日が楽しかった。
今日は彼の誕生日だから、できたらキスをしたい。こんな記念日でもなければ照れくさくてまだ手を出せそうにないのだ。もちろん、彼が嫌だと言うのならまだ我慢するつもりだけれど。
それにしても、と思う。時計を見るととうに下校時刻を過ぎていた。生徒会で何かあったのだろうか。
「エリー、まだかな…」
少し寒くなってきて、体を震わせた。もう少ししたら電話を掛けてみようと思いながら、ミヒャエルは恋人が来るのを待ち続けた。



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