マネっ子ノンフィクション(青黄)
「あっちー…」
言っても仕方ないこととはいえ、言わずにはいられない。部活後の部室は、耐えられないほどの熱気に満ちていた。さほど広くもない部屋にレギュラーメンバーが揃っているから尚更だ。換気扇なんて、焼け石に水でしかない。
「じゃあ青峰っちが涼しくなるように、モノマネやるっス」
一足先に着替えを終えた黄瀬が、ロッカーを閉めながら提案する。
「滑る前提かよ。すげーな、お前」
「こんな時のための模倣じゃないスか」
「どんな時だよ。バスケのために使えよ」
青峰はだらだらと着替えながら応酬する。横目で見た黄瀬は、試合中のような集中力でもって握った両手を胸の前にやり、口を開いた。
「『もう大ちゃん、勝手に私の制服着ないでって言ったでしょ!?』」
ぶはっ!言葉は発さずとも成り行きを見守っていたキセキたちが一斉に吹き出す。誰かがロッカーにぶつかる音がする。
もちろん青峰だけは、笑えるはずがなかった。ボタンにかけたままの手に落ちた汗は、どこか冷たい。
「…青峰」
そして、笑いを収めた仲間たちが向けた蔑みの視線もまた、冷たかった。
「違っ…着てねぇ!…じゃなくて、そんな台詞言われたことねぇよ、いやマジで!」
「じゃあ俺はこれで。お疲れっしたー」
「待て、帰んな!黄瀬えぇー!!」


fin 2014/7/31

課題『汗だく青黄』。
冷や汗だくだく。


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