女体黄瀬、男子更衣室で着替える。(火黄)
いやいやいやいや。
皆でバスケしようとちょっと大きめのコート施設に来たのはいい。逸る気持ちを抑えつつさあ着替えようとやってきた更衣室にーーー
「なんで普通に着いてきてんだよ!」
「ええー?」
不満げに口を尖らせる黄瀬はとても可愛い。可愛すぎて、ここには似つかわしくない。
「ここ、男子更衣室だぞ?」
「知ってるってば。みんな気にしないから大丈夫っスよ」
ほれ、と黄瀬が指さした先には確かに、我関せずに着替えを進める面々がいる。だが、そういう問題ではない。そういう問題ではないんだ。
なんと言って説き伏せようか火神が考えていると、なにを思ったのか黄瀬は突然バッと上着を脱ぎ捨てた。
ぎゃーと叫んだのは、火神の方だった。
「なにしてんだ馬鹿、服着ろ!」
「もー、平気だってば!」
「お前が平気でもーーー」
脱いだばかりの服を着させて、もう早まることがないよう両肩を掴んで、火神は言った。
「俺が、嫌なんだよ」
「火神っち…」
頬を染めた黄瀬は火神の背に手を回すと、きゅっと抱きついてくる。
「分かった、ごめんね。もうしないっス」
「おう」
火神もまた掴んでいた肩を包み込むものに変える。
人目も憚らずに抱き合う二人を眼中に入れることも無く、仲間たちは心の中で思ったのだった。
ーーーいいから早く準備しろ。


fin 2019/2/7


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