03 捏造


放課後、青峰は一人体育館へと寄った。部活に参加するためではない。ただ様子を窺うためだ。
「…黄瀬くん…」
体育館の中では黒子が、息も絶え絶えに床に座り込んだ。
「君の1on1の相手は、僕では勤まりませんよ。やっぱり青峰くんでないと…」
「青峰っちの話はやめて欲しいっス」
黄瀬は黒子の言葉を遮ると、ボールを持ったまま壁にもたれ掛かり、遠くを見つめた。
「青峰っちが死んで、もう3年っスね…」
「いや3年て、君ら出会ってもないですからね」
「青峰っちが最期に言い残した『特保(特定保健用食品)は素晴らしい』という言葉だけを支えに今まで頑張ってきたけれど…」
「記憶の捏造が雑ですね」
黄瀬はぎゅうっとボールを抱いて、悲痛に泣き叫んだ。
「どうして死んじゃったんスか、青峰っちぃ…!」
―――死んでねぇよ!
青峰の思いはもちろん、黄瀬に届くことはなかった。

2014/5/28




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