LONG NOVEL

しつこい! (44/46)

「ちょっちょっちょい!苗字待ちぃや!」

そそくさと部室を出ようとしてた所を予感してた通り鳴子に邪魔される。

「なにかな;?」
「何かな?やない!あいつ〜鏑木とどういう関係やねん、いつのまに」
「どうって・・何もないよ」
「そんなわけあるかい!俺らさえ初対面やのになんであない・・いつの間に知り合っとんねん」
「それはあのぉ昼休みにちょっとあってね・・・;」
「だから昼休みにあいつと何があったんや」
「え〜、ん〜〜〜;」

って言えるわけないじゃん!
血相変えてなんでしつこく聞いてくんの?
知り合いたくて知り合ったわけじゃないし、カブとの事より私にとってはうちの大事な狙撃手がボロボロに傷ついたって方が私には一大事なのに!

「まさかあいつに絡まれたとか?なんか変な事とかされたわけじゃないやろな!」
「は?何言ってんの;」

傍で話を聞いてる小野田坂道のオロオロとした顔が視界に入る。

なんでオタクって事を一番告げたい小野田坂道じゃなくて、オタクじゃない一般ぴーぽーな奴ばっかにどんどんバレてくわけ?

「もういいでしょ?;」
「ほんまにほんま?あいつとは単なる知り合い?」
「鳴子しつこい!」
「だそうだ鳴子。名前がそう言ってんだからそうなんだろ」

助け船を出してくれた純太のおかげでようやく鳴子の質問攻めから解放されて部室の外に出られた。


みんなと別れ、純太との帰り道やっと一息つけた。

「はぁ、疲れた;」
「今日は災難だったな」
「ほんとそうだよ、最悪な日だった」
「名前が言う様に鏑木とは何でもないわけなんだろうけど、これからはそうもいかなくなりそうだな」
「え?なんで?カブとなんて別に・・」
「毎日顔合わせるんだ、そういうわけにいかないだろ?」
「ただの先輩と後輩でしかないのにこれ以上どう関わるの?」
「ただの先輩後輩ねぇ〜」

純太の無理して笑った様に見える表情に不安を感じてしまう。
いつもなら「だよな!」って優しい笑顔を見せてくれるのに。

「純太」
「ん?」
「疲れてる?」
「いや?疲れてるように見える?」
「うん、ちょっと」

純太が不安な顔をすると私も不安になる。
でもキャプテンていう大きな責任があって、今日から新入生が入ってきて、部員全員をまとめなきゃいけないんだもん、毎日疲れて当然だよね;

「ごめんね純太」
「ん?なんで名前が謝んの?」
「なんかさ・・」

幹と比べて全然役に立たってない私なんかが、小野田坂道の事とかカブの事とか余計な心配させて純太にばっかり迷惑掛けちゃってるみたいで。

「まあ、あんま気にするなよ。鳴子はさ名前の事心配して言ってるだけだと思うし」
「ありがと純太、私は大丈夫だよ」
「そっか。でも大丈夫じゃなくなった時はすぐ俺に言えよ?今までもそうだったろ?」
「うん・・」
「あ〜ちょっと前まではそうでもねぇか」
「ははは、そうだよね」
「ま、遠慮しないで相談しろよ?すぐ隣に住んでんだからさ」
「わかった、そうする」
「んじゃまた明日な」
「うん、じゃあね」

ロードを家の中へ押しながら、純太の家のドアが閉まるのを耳で確認する。

「よし!明日もがんばろ」

MERIDAちゃんを愛おしく見詰めながら家のドアを閉めた。





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