LONG NOVEL

気持ちの変化(純太視点) (30/46)

昔から常に側にいて、俺と名前の間にシキバがいてもこんな気持ちになる事なんてなかった。

シキバが転校して高校に入学し、名前との間に少しの距離が出来てもたまに見せてくれるの名前笑顔は昔のままで、会う時間は減ってもそこまでの不安は感じてなかった。

名前が俺の後を追う様にして総北に入学して来た。

内心嬉しかったし、また昔の様な名前との時間を戻せるかもしれないと思っていたが、一学年違うと結構難しいもので、俺も一度は辞めようと思ってた自転車を青八木に出会った事で続ける事に決め、名前との距離は一向に縮まらなかった。

すんなりアニ研に入部するかと思いきや、廃部という事を部室に貼ってあった掲示で知り、すぐに名前を追ったが時すでに遅し、名前はテニス部に入部した後だった。

同じ運動部といえども朝も帰りも微妙に時間がずれてる上に、俺は青八木との自主練もあり、会う事さえなかなか出来なかった。

それでもたまに部屋から見掛ける名前の姿は当たり前に昔より成長していて、パタリと来なくなったイベントの誘いに期待しながらも俺は俺で練習に明け暮れた。

もしかしたらイベントに一緒に行く相手をみつけたのかもしれないな。なんてそう思っていた矢先、名前が部活後俺の前に現れた。


「純太に聞きたい事があって・・部活終わるの待ってた」


久しぶりに名前の声を聞き、ちゃんと向き合った。


「俺に聞きたい事って?」


話の内容からして、名前は何一つ変わってなかった。
変わったのは俺の名前への気持ちだけらしい。


「自転車部のマネージャーやらねぇ?」


名前の目的は小野田坂道と知り合いになる事。
親しくなって大好きなアニメや漫画の話をする事。

そんな名前の気持ちを利用してうちの部に誘った。

名前がアニメを通じて小野田に興味を持つという可能性は0ではなかったが、昔の様に名前に頼られたかったし、きっかけはどうであれ側にいたいって思った、側にいて欲しかった。


「焼きたて最高!田所さんのパン、超美味しいね」
「だろ?」
「また来ようよ、MERIDAちゃんにも乗りたいし」
「ああ、いいぜ」
「あ、でもイベントがなければだけど」
「イベント?なんや苗字イベントって!」
「Σえ?なんでもないっ;」
「小野田君と同じアニメのやつやったりしてな」
「ち、違っ;!///」


真っ赤な顔して慌てる名前を見詰める今泉と目が合った。
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