LONG NOVEL

一体誰が?(坂道視点) (25/46)

これ、誰が貼ってくれたんだろう、姫野湖鳥のステッカー。

手嶋さんの走りに体が、気持ちが揺さぶられ、手嶋さんに追いつきたいとペダルを踏みしめた瞬間、目に飛び込んできたステッカー。

背中を押してくれた今泉君が?
一瞬そう思ったけど、このステッカーは確か懸賞で当たった人だけが手に入れられたレアもの。

今泉君はその頃まだラブ☆ヒメを知らないし、他にボクと同じアニメ好きの人がいる気配もない。

それじゃあこれって一体誰が?

大会前、手嶋さんと苗字さんが話してた箱学の大きい人。
もしかしてあの人がボクをラブ☆ヒメ好きと知ってわざわざ・・・そんなわけないよね。

でも他に思い当たる人はいないし、寒咲さん?鳴子君?青八木先輩??

閉会式から家に帰る間もずっとこれの事ばかり考えてる。

ボク以外にラブ☆ヒメが好きな人が近くにいるなんて・・・



「小野田君、ごっきげんやな」
「そりゃそうだろ、ヒルクライムで優勝したんだからな」
「スカシはほんま惜しかったなぁ、キバリが足らんかったんちゃうか?」
「お前にだけは言われたくない」
「ワイはいつでもキバリまくりすぎてウンコちびりそうになっとるわ!」


鳴子君のおなじみの話に苦笑しながら自転車置き場の横を通り過ぎる。


「これ苗字のやんな?まだロードに乗り慣れへんのか」
「なかなか乗る時間取れ無いんだろ」
「一日あればワイが手取り足取り教えてすぐに乗りこなせるようになるんやけどな」
「なんだ?」
「いや、なんでもない」


苗字さんも最近ロードバイクを買ったって聞いた。
今はまだこの自転車に乗って来てるみたいだけど、そのうち新しい自転車で通学・・・


「あ」
「なんや小野田君」
「ううん、なんでもない」


苗字さんの自転車の鍵に有丸君のストラップが付いてた事を思い出した。
ラブ☆ヒメの事を聞いたら、手嶋さんがたまたまガシャポンでGETしたって言ってた。

ラブ☆ヒメのガシャポンは1個300円する。
興味がないのに300円もするガシャポン、するものかな?
ボクなら欲しいものしかやらないけど。


「小野田君急がんと朝練遅れるで」
「あ、ごめん;」
「なんやそのボトル、新しくシール貼ったんか?らぶひめちゅうやつ?」
「うん・・」
「ほんま好っきやなぁ小野田君、小野田君以上に好きなやつ他にいないんちゃうか?」


鳴子君に笑いかけながらも、ボクの頭には苗字さんの顔が浮かんでならなかった。
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