LONG NOVEL

気持ちの問題 (18/46)

あれって・・
え?もしかしてイベントでしか手に入らないイベント限定"王立軍"ステッカーじゃないの!?


「どうしたの名前?」
「Σえ!?ううん、なんでもない」


幹にはそう言って誤魔化したとはいえ、気になって仕方ない。
だって私、イベント行ったのに数量限定だったから手に入れられなかったんだもん;

近くで見たい、じっくり見たい、実物見たい!

けどステッカーをガン見してたら絶対変だと思われるし、小野田坂道本人にこっそり「見せて〜」なんて事も言えないし。

部室へ戻る小野田坂道の後ろを無意識に付いて歩く。
視線は王立軍のステッカー。


「苗字さん?あの僕に何か・・」
「Σえ!なに?私別に何もしてないよ?;」


焦った;
ステッカーガン見してたのバレたかと思った;


「小野田に用でもあるのか?」


純太がこそっと私に耳打ちしてきた。


「うん、実はさ・・」
「王立軍?」
「あのステッカー。欲しくてイベント行ったんだけど買えなかったんだよね」
「イベント?いつの」
「年末の」
「もしかしてまた一人で行ったのか?」
「またって・・行く人いないもん」
「俺誘われてねぇけど?」
「だって純太アニメ興味ないでしょ?イベントもの凄い人だし、付き合ってもらうのも悪いし」
「そんなの今更だろ、何遠慮してんだよ」


純太はそう言って私の頭をぐしゃぐしゃと掻き回したけど、やっぱり気が引けて誘えないよ;

でも今年の冬はもしかしたらって、ほんの少しだけ期待したりしちゃってる。

小野田坂道にアニオタだって話せる日が来るのかな・・・。


中学の時、私ほどアニメ好きじゃなかったけど、私に付き合ってくれる幼なじみがもう一人いた。

純太と二人その頃から自転車やってて、練習がない時はイベントやショップ巡りに付き合ってくれた。

中学卒業を期に引っ越しちゃったんだけど、今もあのまま側にいてくれたらこんな風に寂しい思いしなかったのにな。


「今度はちゃんと声掛けろよ」
「うん、でも純太忙しそうだからなぁ」
「俺だって休息は必要なんだぞ」
「イベント行ったら休息にならないじゃない;」
「そういうのは、気持ちの問題なんだって」
「・・・気晴らしって事?」
「何処に行くかって事じゃなくて、誰と行くかって事だよ」
「うん?」



純太はそれ以上何も言わず、口角だけ上げてフッと笑った。
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