LONG NOVEL

部の一員 (12/46)

「名前、あのさ小野田と何か話した?」
「話?ううん、特には」
「そっか」


部活の合間純太の問いに首を傾げる。

小野田坂道と話?
アニメや漫画の話って事だよね、きっと。

前も言った様に、そんなまだ全然親しくもない人にそんな話急に振れないよ;
当然今泉にだってそんな話してないし。

ちょっと不安げに小野田坂道を見詰める純太の姿が気に掛かる。

何かあるのかな?
私の知らないとこで。

私の知ってる小野田坂道とはいつもと変わりないけど。



「ねぇ」
「あぁ?」


声を掛けただけなのになんなのその態度、返事、反応。
そのむかつく反応を目の前でされ、無言でその場を離れようとした。


「なんか用があるんだろ?」
「無いよ」
「じゃなんで声掛けたんだよ」
「ちょっと寝ぼけてた」


っていうか、その手離してくれない?今泉。

私がじっとその手を見てたら今泉は慌てて手を離した。


「なんだよ」
「・・・小野田坂道の事なんだけど」
「小野田?」
「純太が」


最近の小野田坂道の様子を純太が心配してるらしい事だけを今泉に伝える。
今泉の反応は特に驚いた感じもなく、私から視線を逸らしながら口を開いた。


「それは俺も感じてる。けどあいつなら大丈夫だ」
「今泉も知ってるの?小野田坂道どうしたの?なにかあるの?」
「お前は知らなくていい」
「え・・・」
「ロードに乗らない奴にはわからない」


そう言い捨てられなんかもの凄いショックだった。
"素人のお前なんかに言ったってどうせわからない"って言われた様で。


「そ、そうだけどさ、私だってもう自転車部の一員なんだよ」


今泉が俯いてた顔を上げ私の顔を見たけど、視線が合う前に私は席から離れた。

そりゃ入部したばっかりだし部員の事なんかまだ何一つ理解してないけど、そんなのこれから知っていけばいいことだし、今の私じゃ何も力になれないって自分が一番分かってるよ。


今泉なんかに聞いた私がアホだった;


教室を飛び出し早足で廊下を歩いてたら遠くから名前を叫ばれ思わず後ずさりする。


「苗字〜お昼ご飯もう食い終わったんか?」


メロンパンにかぶりつきながら豪快に手を振る鳴子だった。


「ううん、まだ。これから買いに」
「なにしとんねん、パンもう完売しとったで」
「えーーー!?完売ってもう?」
「そうや、ワイが残り全部買い占めたったからな」
「!!!!」


グーパンチが出そうな気持ちを抑えて無理矢理鳴子にヒクついた笑顔を向けた。
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