LONG NOVEL

宜しくお願いします (11/46)

「あっそ」
「・・・え?」
「なによ」
「なにって、それだけ?;」


次の日の朝練後、テニス部を退部して自転車部に入部する事を綾ちゃんに恐る恐る話したら、そんな拍子抜けした返事が返ってきた。


「ずっと思ってたんだけど、私が誘ったから入ったんでしょ?テニス部」
「Σそ、そんな事ないよ;」
「本当はあんたテニスの才能あるのに、勿体ないよ。けど好きになれないなら仕方ないし」
「才能なんか無いよ・・」
「次の大会のレギュラーメンバーに名前の名前上がってたらしいけど?」
「え?!」
「この話聞いても、やっぱり辞める?テニス」


たとえレギュラーに選ばれたとしても私の決断は揺らがない。


「うん、私自転車部に入るよ。今までありがとう綾ちゃん」
「ありがとうって馬鹿だね。部活違ったってずっと友達でしょうが」
「綾ちゃんTT」
「そうそう、今まで言った事なかったけど、自転車部にいるマネージャー寒咲幹、中学からの友達だから」
「え!」



「全員すでに知ってるとは思うが、今日からうちの自転車競技部に入部した苗字名前だ。苗字には寒咲と一緒にマネージャー業に徹して貰う。名前っと苗字、挨拶して」
「き、今日から入部した苗字です・・自転車の事は殆ど無知ですけど、頑張ります・・宜しくお願いします;」


すでに知ってるいくつもの笑顔の中に一人だけずっとこっちを睨んでる奴がいる。
その視線に敢えて合わせないように赤髪くんや小野田坂道の方に笑顔を向けた。


「苗字さん宜しくね」
「こちらこそ宜しく寒咲さん」
「苗字さんの事はよく綾ちゃんから聞いてたよ」
「え?良くない話?;」
「ふふふ、いい話だよ。苗字さん、私の事"幹"って呼んでくれていいからね」
「え?あ、じゃあ私も」
「わかった・・名前、これから宜しくね」


女友達と名前で呼び合うのは実は初めてで、寒咲さんの口から当たり前の様に自分の名前が出てきた事がもの凄く恥ずかしかった。


「ワイも苗字の事名前って呼んでええ?」
「なんでお前が呼び捨てするんだよ」
「名前で呼び合った方が仲良ぉなれるに決まっとるやないかい」
「未だに赤髪くんのくせに」
「うっさいわスカシ!苗字はええよな?苗字、ワイは鳴子!鳴子章吉!章吉って呼んでくれてええで」
「いや流石に・・・鳴子って呼ばせてもらうわ;」
「ええなー、手嶋先輩だけ呼び捨て」


そう言う鳴子を見た純太の顔がたまに見る意地の悪いドヤ顔に見えた。
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