うぶげ


昨日の夕方から居座る重たい雷雲のせいで、こちらまで気分は灰色だった。

借りてきた『ピンクパンサー』と『Mr.ビーン』は、記憶ほど笑いを引き起こすものでは無かった。好みが変わってしまったのか、たまたまその時の気持ちに合わなかったのかはとんと分からない。私は映画に対してつまらないと評価することは滅多に無いので、期待外れに終わったことはいっそう私の気を滅入らせた。私はいかにも頭の弱い娘であるから、映画鑑賞をするからには理論など抜きにして楽しい余暇を過ごす心づもりなのだ。一日２４時間のうちの２時間にも満たない時を、今日の日記帳に特筆すべき予定として定めたのに、果たしてメインディッシュは口に合わなかった。就寝前に日記帳に記されるであろう、空虚という事実、ドーナツの穴。





卒論で使い込んだ本を久しぶりに読む。箱に入れたままであったから忘れていたのだけれど、付箋を挟んだままだったので一枚一枚丁寧に剥がした。背が幾重にもぱっきり割れてしまうまで開閉を強いられたそれを売りに出すことは到底叶わぬので(そもそも手放す気は無いが)、この先何度も読み返すのだろう。人間が書くということの意味を考えながら。

(とても今更なのだけど、卒論の評価は一番上等なものでした。へへ)



何となく余ったキャベツと玉ねぎが、これまた何となく野菜室に横たわっているので、オイル蒸しなんぞ作った。野菜を適当に刻み、水で戻した乾燥にんにくと種を除いたブラックオリーブを加え、胡椒とオリーブオイルをぐるり回し掛けして軽く混ぜる。これを耐熱皿に移しラップをかけてレンジでチンするだけという代物なので、ぜひどうぞ。あとはワカメのコンソメスープ、パンそのものでは無く耳をオーブンでこんがりと焼き上げたもの。冷え込む日は久しぶりだったから、ポタージュが欲しいと思った。

そういえば私は引っ越しにあたり家電を全て中古で揃えたのだけど、３万円に収めた。もっとも、テレビと洗濯機を買わなかったのは大きいだろうけど。物の面で満たされてしまうと外に目を向けなくなるのが悪い癖であるから、私には少し足らぬくらいが丁度良い。せいひん、と声に出す。


← →


＜