出会い

 無防備に裏庭のベンチで眠っている人を偶然見つけた。

 校舎内を探検していただけなのにいつの間にか迷ってしまって、そのまま歩き続けていたらこんな人気の少ない場所に来てしまったのだ。本来ならば誰も来ないはずの校舎と離れたここは日差しが良く、ひとつぽつりと置かれたベンチに身を横たえる生徒を見つけてしまって好奇心に負けて近づいてしまった。

 この人は確かこの学園の生徒会長だったな、と思い出す。

 精悍な顔立ちと恐ろしく整った顔は神様の贔屓で創られたような美しさを誇っており、小柄な生徒が抱かれたいと騒ぐのがよくわかるぐらいに男くさいとまではいかなくとも恰好よかった。

 起きているのか眠っているのかよくわからないペースで上下する胸に、眠っているのだろうと結論付け風邪をひいてしまわないようにとブレザーをかけた。僅かに寄った眉にいやらしい想像を掻き立てられて、自己嫌悪からすぐに逃げるようにして身体を反転させて足を踏み出した。

「おい」

 少し楽しさを含んだような声がして、慌てて振り返る。「あ、は、はいっ……!?」と返事の声は裏返ってしまったが、五十嵐会長は至極楽しそうに口許を上げた。

 それが、おれと晴美さんとの出会いだった。





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(C)siwasu 2012.03.21


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