会長と危険なアレ7



 汚れた俺の顔を舐め取りながら顔中にキスするジークを睨み付けると、困ったように笑いながら額に口付けられた。

「何でセルフ顔射なんかさせられなきゃなんねーんだよ」
「ユーリが積極的なのが悪い」

 口を尖らせて可愛い仕草を見せても許す気はないからな。ソファーに乗り上げ俺を抱えなおすジークを半眼で睨み付けながら押し倒すと、金の瞳が驚いたようにこちらを見上げる。

「ユーリ、流石にこれ以上は…」
「は?普段うざいぐらいしつこい癖にもう終わりかよ」
「うざっ!?」

 ジークが俺の言葉に傷ついたのか目尻に涙を一粒浮かべた。すぐに拭って気丈に振舞っていたが。
 俺はソファーの肘掛けに頭を乗せるジークを見下ろしながら、股間に手を伸ばす。自己主張の激しい息子に指が触れた。なんだ、萎えてねえじゃねえか。

「…お前の身体を心配しておるのだ」

 柔らかな声で諭されながら優しく頬を撫でられて、俺はくすぐったさに身を捩った。確かに無理をしすぎると明日後悔することは分かっている。
 だが、まだ身体は物足りないと熱を燻らせていた。

「じゃあヤらせろよ。交代だ、交代」
「それは出来ぬ」
「ちっ」

 あからさまな舌打ちをすれば半眼のジークが呆れたように溜め息を吐く。
 俺は暫く出方を伺うつもりで大人しく見つめていたが、事後の雰囲気――と、いうか続けることを躊躇うような仕草しか見せないジークに、いい加減痺れを切らして自分で窪みにペニスを押し当てた。
 重力に任せて腰を下ろせば、ぐずぐずになった中が嬉しそうにジークのものを奥まで呑み込んでいく。

「ん、っ」
「ユーリ…どうなっても知らぬぞ」
「っせぇ、なぁ…っ」
「っ痛…!」

 俺の中でチンコをおっ勃てておきながらまだ乗り気じゃないのか。ぼやくジークにいらっとしたので肩口に手加減無しで噛み付けば、眉を寄せるその表情に興奮してしまって何となくまた噛み付いた。
 反射的に俺の顔を掴んで引き剥がすジークの表情が呆れているのか怒っているのか興奮しているのか分からない、色々と織り交ざったような顔を見せていて、それが何だか艶やかで思わず笑みが漏れる。

「あまり調子に乗ると流石の私も怒るぞ」
「人のケツにちんこ突っ込んだまま怒られても怖くねぇ、よっ、っん!」
「っく」

 俺は両手を後ろに回すと、ジークの足に体重を乗せながら上体を反らして腰を前後に回し煽った。俺を好きなジークは予想通り視覚的にも興奮して耳まで真っ赤になった顔を片手で隠しながら珍しく小さな舌打ちをしてみせる。おお、何だか男っぽいな。

「そこまで煽るからにはっ責任をとってもらうぞ、ユーリ」
「んぅ、あっ、口じゃ、なく…下半身を、動かせってぇ、の!」

 いちいち過剰な心配を見せるジークの態度が気に食わなくて両手を前に置き直すと、腰を上下に振って抽挿を繰り返す。支えるように俺の腰を持ったジークの爪が肌に少し食い込んで、その痛みが更に背筋を奮わせた。

「んあっ、あ、あぁぁァ…!そ、それ、きもちい……っ」

 肌が切れるか切れないかのギリギリの痛みに内腿から力が抜けて動きが止まる俺を、ジークは許さないとばかりに無理やり腰を持ち上げると奥へと遠慮なく打ち付ける。臀部に睾丸が反射する。柔らかな内壁を抉られ、前立腺を乱暴に擦り上げられて頭が真っ白になりそうなぐらいの快感が弾けた。

「んあぁっ、アッ、や、ぁ、アぁ!ひっ、そこ…ぉっ」
「ユっ、ユーリ!尻尾は触るな…!」
「む、りっ、ぃあ、いぐ、ん、んぅっ!」

 理性なんてとうにどこかへ飛んでいた。今の快感を逃したくなくて腰を振りながら、やり場に困った手が傍で揺れていた尻尾に伸びる。ぐっと力強く握りこめば視界の端で仰け反るジークが見えた。
 俺はイきそうになる一瞬の緊張した身体に思わずそのまま尻尾を噛めば、下から耐え殺したような低い唸り声が聞こえる。中のペニスが更に固くなって、圧迫された腹が苦しさに痙攣した。

「ん、ぐ、うぅっ、んんんんん……っ!!」

 全身の血が脳まで一瞬で駆け上がるような絶頂に、仰け反った上体が耐え切れずソファーから落ちそうになったが寸でのところでジークの腕に支えられる。腹の中で放たれる精液が内壁から吸収されていくような妙な感覚すら快感に変わっていった。
 全身を痙攣させて動けなくなった俺は、そのままジークに体重を預けながら息を整えようと大きく深呼吸するが、目の前の景色はぐらぐらと揺れて頭は宙に揺れたまま。まるで自分の身体が自分のものではないような違和感に、虚ろな目を下半身に向けた。
 小刻みに震えながらもはち切れんばかりに膨張した自分のペニスがまだ絶頂を迎えていないことを知ってあぁ、と納得する。

「き、ききき貴様、尻尾を噛むのは――っ」
「なぁ」

 夢心地の中、俺の下で身体を支えるジークがわなわなと震える声を吐き出した。怒っているようにも聞こえるが恥ずかしがっているようにも聞こえるので多分気にしなくていいだろう。そういや尻尾も性感帯みたいなこと言ってたからもしかして割と酷いことをしたのだろうか。
 俺はジークの胸板に身体を預けながら顔を少し上げてお詫び代わりに口付けを落とした。
 そして、

「まだ俺、イってねえから、続きはベッドでしよぉ、ぜ」

 と誘えば、ずっと赤かった顔がここにきて何故か青く変化したが、勢い良く抱きつきながら首を絞めたら寝室まで抱えてくれたのでやっぱり優しい男だ。お礼にジークが半泣きで許しを請うまで求めてやったんだから翌日感謝されてもいいだろう。



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(C)siwasu 2012.03.21


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