二人+夜=愛5 ジークは俺の腰を掴み上げると、自身の先端で窪みを開き、濡れた粘膜を擦りつけながらペニスを中に押し入れてくる。 尻尾が充分に慣らしてくれていたお陰か潤いにも満ちたそこに痛みはなかったが、圧迫感に俺は思わず歯を食いしばった。 「ユーリ、力を抜いてくれ」 「…っく、む、り…」 奥を目指すペニスは俺が力を入れているせいで雁首までを中に入れたままそれ以上進めないでいる。ジークも辛そうに息を吐くと、少し固さを失いかけている俺のペニスに手を伸ばし上下に扱き始めた。 「あっ、く、ジーク…っ」 「少しこっちに集中してみてくれ」 言われるまま掌の温度と動きに意識を収束させる。 そのお陰か、先程のように弄られ固さを取り戻しつつある俺のペニスと比例するように身体が弛緩するのが分かった。ジークはそれを見逃さないように、ゆっくりと自身の熱を奥へと進めていく。 最後には緩慢ながら受け入れる自身の浅ましさに、生理的な涙が頬を伝った。 「は…っく、ぅ…」 「ほら、ユーリ。全て収まったぞ」 嬉しそうな声と共に右手を掴まれ結合部の方に引き寄せられる。 俺はジークの予想以上に熱を持ったペニスにも驚いたが、それを飲み込んだ自身の後口の柔らかさの方が衝撃は大きかった。これも出来れば知りたくなかった事実だ。 「ユーリの中は柔らかくて熱くて心地好い」 「…俺、実況すんな…って、さっきも言った、よな…?」 呼吸が整わないままそう半眼で睨めば、ジークは「嬉しいのだ」と表情を緩めた。 そんな顔をされてしまってはこれ以上文句は言えず、俺はふて腐れて視線を反らした。 「そろそろ、動くぞ」 「んっ、」 ジークは暫くの沈黙の後、堪えきれないとばかりに自身を強く突き上げた。その衝撃に思わず腰を引かせるが、逃さないとばかりに抱えられ深い所に先端を押し当てる。 「う、くっ」 内臓にまで響きそうな程のそれに俺は叫びそうになる喉を縛り付けてジークの首に腕を回した。 律動を始めたペニスは俺の前立腺を擦り上げながらもその間隔を短くしていく。 俺は容赦なく引き出される快感に自身の先端を濡らしながら背筋をしならせて、熱の波を逃そうと夢中で足をばたつかせた。 「ふ…っ、中がきゅうきゅうと締め付けてくる」 「っあ、だ、だか…ら実況、すんな…って…はぁ、はっ、…あっ、く!」 揺さぶられる身体のまま舌を噛まないよう悪態をつくも、この状況では何を言っても無駄なのだろう。 代わりとばかりに腕をジークごと引き寄せ唇を合わせれば、絡み合った舌と下肢の熱に互いが軽口も叩けなくなってきた。 次第に律動の間隔が短くなると同時に中で洩れ出る粘膜がジークの限界の近さを物語る。俺の方はジークの腹で擦れたペニスが既に限界だと先に降参を訴えていた。 しかし、目敏くそれに気付き手を置くジークに俺は責めるような視線を向ける。 「はっ、あ、っジーク、いい加減に…っ」 俺が睨みつけた先には、汗で髪を額に張り付かせながら微笑み見るジークがいた。 「共にイこう?ユーリ」 そんな顔で言われて、断れる奴がいるか、馬鹿野郎。悔し紛れに大臀筋に力を入れれば、低く呻く声に俺は少しだけ満足した。 「は、ユーリっ、もう…」 「んっ、あ、あ、ぃ………っ!」 何度目かの大きな抜き差しの後、ジークは中に自身の熱を吐き出した。同時に果てる自分のペニスも、白濁を腹部の上に零して俺は弛緩していく身体のまま大きく息を吐こうとする。 だが伸し掛かったジークの体重に呼吸はぐえ、とカエルの潰れたような音に変わる。 「おい、ジーク…んっ」 咎めようとした言葉は唇で塞がれてくぐもった声となる。 終わった瞬間に文句を言ってやる、と思いながらゆっくりと離れる口元を眺めていれば。 「愛しておるぞ、ユーリ」 先手を打たれてしまい、俺は声を詰まらせる。 そういえばこれで一線を超えてしまったんだと頭を掻けば、ジークは不安そうに俺を覗き込んだ。 「よ、良くはなかったか…?」 「………」 快楽には強い為マグロのつもりが充分感じてしまったとか、さっきは下手かもとか思って悪かったとか、そんな言葉が脳裏に浮かぶ程には気持ち良かったと言いたい所だが、それがどうにも釈に触って俺は言いかけた口を閉ざした。 不安を煽られたらしいジークは、オロオロと俺の顔色を伺いながら泣きそうな表情を見せる。 泣き虫だし、弱虫だし、へたれな魔王様だが…まぁ、ずっと一緒にいるのならこれぐらいの方が楽しそうだ。 そんな考えに苦笑しながら、俺は生涯を共にするパートナーの顔を引き寄せると耳元で小さく囁いた。 「っっっ…!…っ、ユ、ユーリ、今…っ」 「………もう二度と言わねえ」 それを区切りにサービスは終了だと言わんばかりにいつもの俺に戻ると、未だ中に入っているジークのペニスを引き抜こうと腰を浮かせて、………落ちた。 「は?」 見れば足を掴み上げて俺の身体を回転させようとするジーク。 「おい、」 「次は後ろからだ」 言いながら後背位に移ろうとするジークに俺は驚いて抵抗する。 「は!?ちょっと待て、初めての相手にんな無茶…」 「初めて、では…ないだろう?」 「…あ」 お前、ちゃんと覚えていたのか。 そして動きが止まる俺を見逃さずジークはそのまま体勢を変え身体を俯せにすると、抜けかけていた自身のペニスを深く中に押し込んだ。 「っんぅ、っ…」 「夜はまだまだ長いぞ、ユーリ」 「おいっ、俺はシテもいいなんて言っ………っあ、あ!」 先程より繋がり易くなった体勢のせいで、ジークのものがより激しく俺の敏感な部分を攻め立てる。 「あ…っ、クソッ、あ、あっや…っ」 こんなことになるのなら優しくするんじゃなかったと後悔を抱きつつ、俺は諦め半分でジークの腕を強く握り締めた。 勿論胸中では面倒臭いと呟きながらだ、面倒臭え。 end. >> index (C)siwasu 2012.03.21 |