二人+夜=愛2



 ゆっくりとラインを確かめるように撫ぞる指に息を吐きながら任せていると、一通り触れ終わったらしきそれが平らな胸の膨れた部分をやんわりと挟み込んだ。
 布越しでも分かる立ったそれを、ジークはキスを含めながら夢中で弄り続ける。

「っ、は…」

 息を吐いて弛緩させれば感覚が敏感になって刺激を脳に伝える。それに甘い痺れを感じて喉を小さく鳴らすと、ジークの喉仏がコクリと音を立てた。
 そして開いた方の手が下肢に伸びていくのを俺はやんわりと止める。

「先に、脱がせろ、よ…着たままは趣味じゃねぇ」
「っわ、分かった」

 眉を顰めながら一瞥すれば、戸惑いながらも俺の服を少し乱暴に剥ぎ取る余裕の無さに、胸中で苦笑する。
 自分も生まれた状態の姿になったジークの身体は、やはり風呂場で見た時と変わらず引き締まっていて、しかしこの状況のせいか興奮でほんのりと染まった肌に色香を感じた。

「ユーリ…っ」
「…ん、」

 欲情した金の目は薄暗い部屋の中で一層輝いて見える。
 そんな目を向けられることに一抹の喜びを感じながら、俺は首筋に顔を寄せるジークの肩に両手を置いた。

「う、…あ」

 直接肌に触れる指は先程よりも刺激が伝わり易い。爪が胸の突起を掠る僅かな痛みさえも、背筋にむず痒い感覚を教えた。
 雰囲気次第で高ぶる自分の身体のことは理解していたつもりだったが、それ以上に感じる甘さに俺はジーク同様相手に欲情しているのだと気付かされる。
 思わず口の端を上げる俺に、拗ねた唇が窘めるように被さった。

「ん、ジーク、も…下、」

 先程から膨らんだ自身を俺のものに押し付けてくる割には上半身ばかりを執拗に嬲るジークに耐え切れず、俺はつい強請るような口調を出してしまう。
 それに煽られて荒い息を落とすと、ジークは躊躇いがちに緩く勃起しつつある俺のペニスを掌で包みこんだ。

「気持ち、いいか…?」
「ん…はっ、あ、悪く、ない…」

 そのまま上下に扱き上げる手は、慣れてきたのか指を使って亀頭を緩く押さえつけたり雁部分を撫ぞって刺激を強いものへと変えてゆく。
 それに堪えきれず鼻につく呼吸を荒く繰り返しながら、下から聞こえるカウパー液の混じった音に己の限界が近付いているのが分かった。

「はっ、ジーク…も、イきそ…」
「そのまま出して良いぞ」

 その言葉に甘んじて俺は膝を立てて足の指でシーツを掴むと、ジークの手中で白濁を零す。硬直していた身体が弛緩してゆくのを感じながら目線だけを足元に向けると、ジークが掌についた俺の精子を舐めている所だった。

「何舐めてんだよ、汚ぇな…」
「む。汚くなどないぞ?ユーリのは甘い」

 真剣な表情で返される言葉に俺は溜息を漏らしつつ髪を掻き上げる。
 そして俺は先程から気になっていたことを恐る恐る口にした。

「…お前さ、まさか初めてとは言わねーよな?」
「……女性との性交経験はあるが」
「あー…続きすんの怖くなってきたかも」

 やっぱりか。
 慣れない動きに身体を丸めつつ別室で寝かせているモグラ兄弟のことを脳裏に浮かべる。いつもと違う部屋だがちゃんと眠れているだろうか。

「や、やり方は聞いておる!」

 冷めた雰囲気に焦ったのか、ジークは顔の横に手をついて乗り上げる形で俺を覗き込んできた。
 その必死な姿を横目で見つつ、胸の内を吐き出すように俺は独りごちる。

「…別にやりたくない訳じゃねーけど、お前のってデケぇし。いくら俺も経験あるっつってもあれが入んのはまた別問だ…っ」

 い、と続けようとした言葉は顔を力強く掴み自分の方に引き寄せたジークの手に邪魔をされた。力の篭った指のせいで地味に頬が痛い。

「ユーリ、おぬし挿入された経験があるのか?」
「あ?………あー…」

 しまった。余計なことを言ってしまった。
 ジークの目は先程の欲に濡れたものから怒りのそれでギラギラと揺れている。
 面倒臭いことになったと俺は目を泳がせながら、上手い言い訳を必死に脳内で考えた。



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(C)siwasu 2012.03.21


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